
家族だから、必ず相続人になるんでしょ?

多くの方が、そう思われているかもしれません。
しかし実は、法律上は相続人であっても、相続できなくなるケースが存在します。
それが、
- 相続欠格
- 相続廃除
- 相続放棄
です。 名前は少し難しそうですが、一つずつ整理すれば、決して理解できないものではありません。
この記事では、
- それぞれ何が違うのか
- どんな場合に起こるのか
- 自分や家族に関係する可能性はあるのか
- 注意しておくべきポイント
を、初心者の方にも分かるように解説します。
まず全体像を整理しましょう
最初に、相続欠格・相続廃除・相続放棄の3つの違いをざっくり整理します。
| 制度 | 誰が決める? | いつ起こる? | 本人の意思は? |
|---|---|---|---|
| 相続欠格 | 法律で自動的に | 相続開始時 | 関係なし |
| 相続廃除 | 家庭裁判所 | 生前または遺言 | 被相続人の意思 |
| 相続放棄 | 家庭裁判所 | 相続開始後 | 相続人本人の意思 |
この表を頭に入れておくと、このあとがとても理解しやすくなります。
相続欠格とは?
〜重大な不正行為があった場合の「自動的な失格」〜
相続欠格とは
相続人が、被相続人や他の相続人に対して重大な不正行為をした場合、法律上、自動的に相続人の資格を失う制度
です。
ポイントは、
- 裁判所の手続きがなくても
- 相続開始と同時に
- 当然に相続できなくなる
という点です。
相続欠格に該当する典型例
民法では、次のような行為が定められています。
- 被相続人を殺した、または殺そうとした
たとえ未遂でも、欠格に該当します。 - 被相続人が殺されたことを知りながら、告発しなかった
正当な理由がない場合です。 - 詐欺や脅迫によって遺言を書かせた・取り消させた
自分に有利な遺言を作らせた場合などです。 - 遺言書を偽造・変造・隠した・破棄した
実務でも、意外と相談があるケースです。
相続欠格の注意点
- 本人の反省や許しがあっても、原則として回復しません
- 欠格者に子どもがいれば、代襲相続が起こることがあります
👉「本人は相続できないが、その子は相続人になる」というケースもある点が重要です。
相続廃除とは?
〜被相続人の意思で相続人を外す制度〜
相続廃除とは
被相続人が、生前または遺言によって、
特定の相続人を相続人から外す制度
です。
相続欠格と違い、
- 被相続人の意思が必要
- 家庭裁判所の手続きが必要
という点が大きな特徴です。
相続廃除が認められるケース
次のような事情が必要です。
- 被相続人に対する虐待
- 著しい侮辱
- 重大な非行
※単なる性格の不一致や疎遠だけでは、原則として認められません。
相続廃除の手続き方法
生前に行う場合
- 被相続人が、家庭裁判所に「相続人廃除の申立て」をする
- 裁判所が事情を審理し、認めれば廃除成立
遺言で行う場合
- 遺言書に「○○を相続人から廃除する」と記載
- 相続開始後、遺言執行者が家庭裁判所へ申立て
相続廃除の注意点
- 廃除された人は、遺留分も失います
- ただし、その子どもには代襲相続が認められることがあります
相続放棄とは?
〜自分の意思で「相続しない」と選ぶ制度〜
相続放棄とは
相続人が、自分の意思で「相続しません」と家庭裁判所に申し立てる制度
です。
相続欠格・廃除と違い、
- 相続人本人の選択
- 相続開始後に行う
という点が特徴です。
相続放棄がよく選ばれる理由
- 借金が多い
- 相続トラブルに関わりたくない
- 他の相続人に相続させたい
といった事情から、選ばれることが多いです。
相続放棄の期限
相続放棄は、
相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ申立てをしなければなりません。
この期間を過ぎると、
- 原則として放棄できなくなる
- 借金も含めて相続した扱いになる
ため、注意が必要です。
相続放棄の注意点
- 放棄すると「最初から相続人でなかった」扱い
- 一部だけ放棄することはできない
- 放棄後は撤回できない(原則)
3つの制度を具体例で比べてみましょう

【例】
父が亡くなり、相続人が長男・次男の場合
- 長男が遺言書を隠した
→ 相続欠格 - 父が生前、長男から虐待を受けていた
→ 相続廃除(家庭裁判所の判断) - 次男が「借金が怖いので相続しない」と決めた
→ 相続放棄
同じ「相続できなくなる」でも、理由・手続き・効果がまったく違うことが分かります。
初心者が特に注意すべきポイント
- 相続欠格・廃除は「本人の意思ではどうにもならない」
- 相続放棄は「期限を過ぎるとできない」
- 代襲相続が起こるかどうかで、相続人が変わる
- 感情だけで判断すると、後悔することがある
行政書士に相談すると何ができる?
これらの制度は、
- 法律用語が難しい
- 家族関係が複雑
- 感情的な問題が絡みやすい
という特徴があります。
行政書士に相談すると、
- 今の状況で、どの制度が関係するか整理
- 相続関係・推定相続人の確認
- 相続放棄の判断材料の整理
- 必要に応じて弁護士・司法書士との連携
などを通じて、「どう動くのが一番安全か」を一緒に考えることができます。
まとめ|「相続できないケース」を知っておくことがトラブル防止につながる
- 相続欠格:重大な不正行為で自動的に失格
- 相続廃除:被相続人の意思+裁判所
- 相続放棄:相続人本人の選択(期限あり)
これらはすべて、相続をめぐるトラブルを防ぐために設けられた制度です。
「自分には関係ない」と思っていても、いざ相続が始まると、突然関係してくることもあります。
もし、
- 家族関係が複雑
- 借金があるかもしれない
- 遺言を書こうか迷っている
という状況であれば、早めに専門家へ相談することで、安心して次の一歩を踏み出せます。
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