ドローンの特定飛行10種類とカテゴリー1〜3の区分|行政書士が解説

特定飛行とは、ドローンを飛行させる際に特に安全対策が必要とされる飛行形態を指し、航空法で規制されています。ドローンの利用が拡大する中、事故やトラブルを防ぐために厳格なルールが設けられています。

さらに、特定飛行はカテゴリー1〜3に区分され、それぞれ異なる規制が適用されます。

この記事では、特定飛行の10種類とカテゴリー1〜3の区分を詳しく解説します。

特定飛行は、飛行する空域飛行の方法に分けられ、以下の10種類があります。

飛行する空域に関する特定飛行

  • 空港等の周辺の空域での飛行
  • 地表または水面から150m以上の高さの空域での飛行
  • 人口集中地区(DID地区)内の空域での飛行
  • 緊急用務空域での飛行

飛行の方法に関する特定飛行

  • 夜間での飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件から30m未満の距離での飛行
  • 催し場所上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件の投下
キリヒラク
キリヒラク

これらの特定飛行でドローンを飛行させるためには、事前に特別な許可が必要です。

注意点などを次に確認していきましょう!

特定飛行の概要については、以下の記事で解説しています。

特定飛行の種類ごとの詳細と飛行方法

空港等の周辺の空域での飛行

概要

空港の周辺空域は、航空機の離着陸が頻繁に行われるため、ドローンの飛行は厳しく規制されています。

該当する飛行事例

  • 空港周辺の測量・点検
  • 空港などの空撮

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の許可を取得する。
  • 飛行計画を事前に提出し、空港管理者との調整を行う。
  • 飛行中は航空無線を監視し、緊急時に即座に対応できる体制を整える。

地表または水面から150m以上の高さの空域での飛行

概要

150m以上の高度は、有人航空機が飛行する空域と重なるため、安全確保のために規制されています。

該当する飛行事例

  • 風力発電所の点検
  • 山岳地域での空撮
  • 高層ビルの外壁点検

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の許可を取得する。
  • 飛行計画を事前に提出し、空港管理者との調整を行う。
  • 高度に常に注意を払い、許可を得た高度以上には飛行させない。
  • 高度が上がると、地上以上に強風がふいていることも想定し、ドローンの安定を注視する。
  • 飛行前に周囲の航空交通状況を確認し、安全な飛行を徹底する。

人口集中地区(DID地区)内の空域での飛行

概要

人口集中地区(DID地区)とは、国勢調査で定められた人口が密集している地域を指します。これらの地域でのドローン飛行は、地上の人や物件への影響が大きいため、規制されています。

該当する飛行事例

  • 都市部での測量・点検
  • 都市部でのイベントの空撮
  • 不動産物件の上空撮影

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の許可を取得する。
  • 飛行前に周囲の安全確認を徹底し、第三者の立ち入りを制限する。
  • 緊急時の対応策を事前に策定し、関係者と共有する。

④緊急用務空域での飛行

概要

災害時などに設定される緊急用務空域では、救助活動や緊急輸送が行われるため、一般のドローン飛行は制限されています。

該当する飛行事例

  • 被災地での捜索活動
  • 災害支援物資の輸送

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の許可を取得する。
  • 緊急用務の内容と飛行計画を詳細に提出し、関係機関との調整を行う。
  • 飛行中は常に緊急用務の進行状況を確認し、必要に応じて飛行計画を変更する柔軟性を持つ。

⑤夜間での飛行

概要

夜間は視界が制限されるため、ドローンの視認性や操作性が低下し、事故のリスクが高まります。

該当する飛行事例

  • 夜間の空撮(花火大会、夜景撮影)
  • 工事現場の夜間監視
  • 緊急捜索活動

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の承認を取得する。
  • ドローンに識別灯を装備し、視認性を高める。
  • 操縦者は夜間飛行に関する十分な訓練を受け、緊急時の対応策を熟知しておく。

⑥目視外飛行

概要

操縦者が直接ドローンを目視できない状態での飛行は、障害物や他の航空機との衝突リスクが高まります。

該当する飛行事例

  • ドローンを目視できない距離で、プロポ(手元のカメラ画面)を見ながらの空撮
  • 遠隔地の点検(送電線、ダム、橋梁)
  • 山岳地帯での捜索救助活動

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の承認を取得する。
  • ドローンにカメラやセンサーを搭載し、遠隔での状況把握を可能にする。
  • 補助者を配置し、地上からの監視体制を強化する。

⑦人または物件から30m未満の距離での飛行

概要

第三者や物件に近接しての飛行は、接触や衝突のリスクが高いため、慎重な操作が求められます。

該当する飛行事例

  • 工場や倉庫、家屋などの屋根点検
  • 建設現場での進捗確認

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の承認を取得する。
  • 飛行前に周囲の安全確認を徹底し、必要に応じて第三者の立ち入りを制限する。
  • ドローンの飛行速度や高度を適切に設定し、安全な飛行を確保する。

⑧催し場所上空(イベント上空)での飛行

概要

イベントや祭りなど、多数の人が集まる場所でのドローン飛行は、万が一の事故時に大きな被害をもたらす可能性があります。

該当する飛行事例

  • スポーツ大会の撮影
  • お祭りの中継

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の承認を取得する。
  • イベント主催者と連携し、安全な飛行計画を策定する。
  • 飛行エリアへの第三者の立入を監視するため、立入管理措置、補助者の配置を行う。
  • 飛行中は常に周囲の状況を監視し、異常があれば即座に飛行を中止する。

⑨危険物の輸送

概要

爆発物や有害物質などの危険物をドローンで輸送する行為は、事故やテロリズムのリスクが伴います。

該当する飛行事例

  • 医療機関への緊急輸送
  • 有害物質の運搬

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の承認を取得する。
  • 危険物の取り扱いに関する厳格な安全基準を遵守し、適切な梱包や固定措置を施す。
  • 飛行ルートを慎重に設定し、人や重要施設の上空を避ける。
  • 緊急時の対応策(不時着時の処理方法など)を事前に策定し、関係者と共有する。

⑩物件の投下

概要

ドローンから物を投下する行為は、地上の人や物件に危害を及ぼすリスクがあるため、厳しく規制されています。

該当する飛行事例

  • 山間部での物資投下
  • 災害時の救援物資投下

飛行の方法(概要)

  • 国土交通大臣の承認を取得する。
  • 投下物の重量や落下速度を考慮し、安全な高度・角度を計算する。
  • 投下エリアを事前に確保し、第三者が立ち入らないようにする。
  • 投下の際には、補助者と連携し、安全確認を徹底する。

特定飛行を無許可で行った場合のリスク

特定飛行を無許可で行うと、以下のリスクが発生します。

法的リスク(罰則)

航空法違反により、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。違反が重大な場合、業務停止命令や刑事罰が適用されることもあります。

民事責任(損害賠償)

無許可飛行で事故を起こした場合、被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。建物の破損、人への怪我などが発生すると、高額な賠償責任が生じることがあります。

信用リスク

企業や自治体の依頼でドローンを運用している場合、違反が発覚すると信用を失い、取引停止や契約解除になる可能性があります。

特定飛行が生まれた社会的背景

ドローンの利用が急速に拡大する中で、安全確保のために特定飛行の規制が導入されました。

背景となる主な要因

  • ドローン事故の増加(落下・衝突による被害)
  • テロや犯罪への悪用の懸念(無許可飛行や危険物投下のリスク)
  • 有人航空機との空域調整(航空機との衝突を防ぐためのルール整備)
  • 国際的な航空ルールへの適応(各国での規制強化に対応)

2015年の航空法改正以降、特定飛行のルールが厳格化され、さらなる規制強化が進められています。

特定飛行のカテゴリー1〜3とは?

特定飛行のリスクに応じて、カテゴリー1〜3に区分され、求められる要件が異なります。

詳しくはこちらの記事で解説しています

カテゴリー1(最もリスクが低い飛行)

概要

  • 特定飛行に該当しない飛行(例:DID地区外での目視内飛行)
  • 人や物件に接近しない飛行

許可・承認の要否

許可不要

具体例

  • 人のいない広い空き地での目視内飛行
  • 田畑や山間部での測量目視内飛行

許可・承認の要否

許可不要

具体例

  • 人のいない広い空き地での目視内飛行
  • 田畑や山間部での測量目視内飛行

カテゴリー2(中程度のリスクがある飛行)

概要

  • 特定飛行に該当する飛行(例:DID地区での飛行、夜間飛行)
  • 第三者の上空を飛ばない
  • 催し場所の上空や、人口密集地での飛行

許可・承認の要否

  • 国土交通大臣の許可・承認が必要
  • リモートID」の搭載が必要(2022年6月以降のルール)

具体例

  • 夜間や、DID地区内での空撮飛行
  • 建設現場での測量飛行(目視外含む)
  • 大規模イベントでの上空撮影(花火大会、マラソン大会など)

カテゴリー3(最もリスクが高い飛行)

概要

  • 第三者の上空を、目視外で飛行する

許可・承認の要否

  • カテゴリー2の許可・承認に加えて、追加の審査が必要
  • 高度な安全対策(フェールセーフ機能、バックアップ通信)

具体例

  • 物流ドローンによる宅配サービス(市街地)

行政書士に相談するメリット

特定飛行の許可申請は、書類作成や手続きが煩雑なため、行政書士に依頼することで以下のメリットがあります。

許可取得のスムーズ化

行政書士が申請書類の作成・提出を代行するため、手続きのミスを防ぎ、許可取得のスピードを速めます。

最新の法規制に対応

ドローンの法律は頻繁に改正されるため、行政書士が最新の法規制に基づいた適切な申請を行います。

業務負担の軽減

ドローン事業者は飛行計画や業務に集中でき、書類作成の手間を大幅に削減できます。

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キリヒラク行政書士オフィスでは、特定飛行に関する許可申請をサポートいたします。

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