
こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。
今回は「ペット葬祭業の開業」に興味をお持ちの方に向けて、開業に必要な手続きと注意点を、できるだけわかりやすく丁寧に解説していきますね。
大切な家族の一員であるペットを、心を込めて送り出してあげたい。
そんな気持ちを支えるペット葬祭業ですが、実は開業には複数の許可・届出が必要です。
知らずに始めてしまうと、後から指導・営業停止になってしまうこともありますので、ぜひこの記事を読んでしっかり準備を整えてくださいね。
ペット葬祭業とは?
ペット葬祭業は、主に以下のようなサービスを提供する事業です。
- ペットの火葬
- 遺骨の返還・納骨
- 遺体の一時保管
- ペット用霊園の運営
中でも火葬や遺体の保管には、法律上の手続きが必須となります。
開業に必要な許可・届出
ペット葬祭業を始めるには、以下の2つが必要です。
内容 | 根拠法令 | 手続き先 |
---|---|---|
火葬炉設置許可 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | 都道府県知事 |
動物取扱業登録(保管) | 動物の愛護及び管理に関する法律 | 都道府県知事(保健所) |
火葬炉設置許可のポイント
設置許可とは
ペットの遺体を焼却するための火葬炉を設置する際、廃棄物処理法第15条に基づき、事前に都道府県知事の許可が必要です。
設置許可の申請先と流れ
- 設置場所の自治体(環境・衛生担当課)へ事前相談
- 施設の構造・規模の確認
- 必要書類の提出(設置許可申請書・設計図・使用計画書など)
- 審査・現地調査
- 許可証の交付
注意点
- 住宅密集地や条例で火葬炉の設置制限がある地域もあります。
必ず事前に自治体へ相談を。 - 設備の安全基準や煙・臭気の規制も厳格です。
動物取扱業登録(保管)のポイント
なぜ必要?
ペットの遺体を火葬まで一時的に保管する行為は「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づく動物取扱業(種別:保管)に該当します。
登録の条件
- 所定の資格者(動物取扱責任者)を配置
- 施設基準の適合(衛生管理・消毒設備・区画など)
- 管理ルールの整備
動物取扱責任者の資格要件
動物取扱業を行う場合、必ず動物取扱責任者を配置する必要があります。
これは、施設ごとに1名以上必要で、登録申請時にその資格要件を満たしていることが求められます。
要件は以下のいずれかに該当すること:
半年以上の実務経験
動物の保管・販売・展示などを行う施設で、6ヶ月以上の常勤勤務経験。
関連資格の取得
環境省が認める動物関連資格(例:愛玩動物飼養管理士、家庭犬訓練士、トリマーなど)を持っている。
専門教育の履修
大学・専門学校などで動物飼養管理に関する所定の科目を履修し、卒業している。
ペット葬祭業の場合でも、動物遺体の一時保管があるため、「保管」の動物取扱業登録が必要で、責任者も要件を満たす必要があります。
設備基準と管理ルール
動物取扱業登録(保管)の場合、施設にも一定の基準があります。
とくにペット葬祭業の場合は遺体保管を適切に行うための設備が必要です。
代表的な設備基準
- 保管場所の清潔保持
毎日清掃し、異臭や害虫が発生しないよう管理。 - 冷蔵庫・冷凍庫の設置
遺体を適切に保管できる冷却設備が必要。 - 消毒・防虫対策
専用消毒液・防虫設備の設置が望ましい。 - 看板の表示
施設の外からも動物取扱業登録番号・責任者の氏名・事業種別を確認できる表示。
管理ルール
- 動物の遺体は依頼者の同意を得た方法で火葬・保管。
- 保管中の衛生・安全を十分に確保する。
- 記録簿を作成し、遺体の受取日・火葬日・火葬方法を記録。
自分で申請する場合の注意点
- 火葬炉設置許可は専門的な仕様書が必要
→ メーカーと連携して、排ガス・ダイオキシン対策を明記した書類が必須。 - 動物取扱責任者の資格証明を揃えるのに時間がかかることも
→ 実務経験証明は勤務先からの証明書が必要で、取り寄せに手間がかかる場合あり。 - 申請書の記入ミス・添付漏れ
→ 書式が細かく、記載漏れで受理されないケースも多い。 - 設備基準を満たさないまま申請し、不許可になる事例も
→ 設備設置後に検査が入るため、基準不足だとやり直しに。
自分で申請する場合の注意点
- 登録内容と実際の運営形態が異なる
- 動物取扱責任者を置かずに営業
- 遺体保管設備の不備・異臭発生
- 記録簿未記載・ずさんな管理
- 火葬炉の排ガス・ダイオキシン対策未実施
いずれも業務停止命令・登録取消しのリスクがあるので注意。
行政書士に依頼する場合の流れとメリット

開業予定の事業内容・場所・設備状況をヒアリング。
火葬炉の仕様書、動物取扱責任者の資格証明、施設図面などを整理。
火葬炉設置許可申請と動物取扱業登録申請書類をまとめて作成し、行政へ提出。
審査過程での修正・追加資料のやり取りも代行。
開業後の義務・届出・更新手続きも引き続きサポート。
行政書士に依頼するメリット
- 複雑な書類作成・役所交渉を任せられるので安心。
- 開業までのスケジュール管理・段取りもプロが調整。
- 設備基準・管理ルールの整備もアドバイスしてもらえる。
登録後の義務と注意点
- 記録簿の作成・5年間保存
遺体の受取日・依頼主名・火葬日・方法を記録。 - 標識(看板)の掲示
外から見える位置に登録番号・責任者氏名を表示。 - 定期的な設備点検・消毒
衛生管理の徹底と異臭防止。 - 火葬炉の維持管理・清掃
法令基準を常に満たすよう管理。 - 動物愛護法・廃棄物処理法にも適切対応
遺骨・残灰の適正処理も重要。
まとめ
ペット葬祭業の開業には、
✅ 火葬炉設置許可
✅ 動物取扱業登録(保管)
の2つの手続きが必須です。
設備基準や管理ルールも細かく決まっており、地域によっても運用が異なるため、事前の役所相談と行政書士のサポート活用がとても重要です。
もし「よくわからない」「うちの地域はどうだろう?」と感じたら、気軽にご相談くださいね。
あなたの開業を、しっかりサポートいたします!
次回予告
次回は「ペットシッター・訪問型サービスの開業|動物取扱業『保管』登録と契約書作成サポート」を詳しく解説します!
施設を持たずに動物の預かりサービスを行う場合の登録手続き、トラブル回避の契約書のポイントなど、開業希望者が気になる情報をわかりやすくまとめてお届けしますので、お楽しみに!
【番外編】火葬炉メーカーとの提携における注意点
1. 法令遵守と自治体の条例確認
火葬炉の設置や使用には、各自治体の条例や規制があります。
特に、排煙や臭気に関する基準は地域によって異なるため、事前に確認が必要です。メーカーが提供する火葬炉が、これらの基準を満たしているかを確認しましょう。
2. 火葬炉の性能と安全性の確認
火葬炉の性能や安全性は、事業の信頼性に直結します。
耐熱温度や燃焼効率、排煙処理機能など、メーカーから詳細な仕様を提供してもらい、必要に応じて第三者機関の検査結果を確認することが望ましいです。
3. アフターサポートとメンテナンス体制の確認
火葬炉は定期的なメンテナンスが必要です。
メーカーが提供するアフターサポートの内容や、故障時の対応体制を事前に確認しておくことで、トラブル時のリスクを軽減できます。
4. 契約内容の明確化
火葬炉の購入やリースに際しては、契約内容を明確にすることが重要です。
価格、納期、保証期間、サポート内容など、契約書に詳細を記載し、双方で合意しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
5. 実績と評判の確認
メーカーの過去の実績や、他の事業者からの評判を確認することで、信頼性を判断できます。
可能であれば、既存の導入事例を見学させてもらうなど、実際の使用状況を確認することも有効です。
火葬炉メーカーとの適切な提携は、ペット葬祭業の成功に不可欠です。
上記のポイントを参考に、慎重に検討を進めてください。
ご相談はこちらから!