【完全版】動物取扱業登録の基礎と実務|対象資格・手続きの流れ・注意点・行政書士サポートも徹底解説

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こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。

これからペットカフェやペットホテル、ペットショップなどを開業しようとお考えの方、

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動物取扱業登録って何から手をつけたらいいの?

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と悩んでいませんか?

今回は、動物取扱業登録の基本の流れから、行政書士に依頼する場合と自分で申請する場合の注意点、登録後に気を付けるべきポイントまで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。ぜひこの記事を最後まで読んで、開業準備をスムーズに進めましょう!

まず、「動物取扱業登録」とは、ペットを販売・保管・貸し出し・訓練・展示・その他世話を業として行う場合に必要な登録制度です。

これは動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)第10条第1項に基づくもので、これがないと営業できません。

対象になる業種は以下の通り。

  • 動物販売業(ペットショップなど)
  • 動物保管業(ペットホテル・トリミングサロンなど)
  • 動物貸出業(アニマルカフェ、ペットレンタル)
  • 動物訓練業(しつけ教室、トレーナー)
  • 動物展示業(動物園、ふれあい施設)
  • その他動物取扱業

複数の区分を行う場合、それぞれの登録が必要になります。

動物取扱業が必要になる実例20選

「うちの事業も必要なのかな?」と迷ったら、ぜひこの例を参考にしてください。

事業内容該当する取扱業の種別
① ペットショップ(犬・猫・小動物・魚・爬虫類などの販売)動物販売業
② ペットホテル(預かりのみ)動物保管業
③ トリミングサロン(美容のみでも一時預かりがあれば)動物保管業
④ ブリーダー(繁殖・販売)動物販売業
⑤ ペットカフェ(動物とふれあえる飲食店)動物展示業
⑥ 動物ふれあいイベントの開催動物展示業
⑦ 動物園や移動動物園動物展示業
⑧ ドッグトレーナー(訓練のみでも必要)動物訓練業
⑨ ペットシッター(自宅訪問で預かる)動物保管業
⑩ 動物のレンタル(ドラマやCM撮影用)動物貸出業
⑪ 映画・CMでの動物調達・管理動物貸出業
⑫ ペット霊園・火葬サービス(生体の預かりがある場合)動物保管業
⑬ 老犬ホーム・高齢ペット預かり施設動物保管業
⑭ 爬虫類カフェ・ふれあいカフェ動物展示業
⑮ メダカや金魚の販売(常設店舗の場合)動物販売業
⑯ 犬猫の里親募集会(譲渡会で不特定多数に)動物展示業+場合によって販売業
⑰ 動物の繁殖のみ(販売を伴う場合)動物販売業
⑱ 観賞魚レンタル(オフィス設置など)動物貸出業
⑲ ペット用ドッグランの運営(スタッフ常駐で動物を管理する場合)動物保管業
⑳ 馬の乗馬体験施設動物展示業

動物取扱責任者の資格要件をチェック

動物取扱業を営むには、必ず事業所ごとに「動物取扱責任者」を1名以上配置しなければいけません。
以下のような資格者のいずれかに該当する必要があります。

所定の資格一覧

  • 愛玩動物飼養管理士(日本愛玩動物協会)
  • 日本小動物獣医師会認定のペットショップ管理士
  • ジャパンケネルクラブの愛犬飼育管理士
  • JKC公認トリマー
  • 動物看護師
  • ペットケアアドバイザー
  • 家畜商免許(販売業の場合)
  • 大学・専門学校等で動物関連学科を修了

さらに、半年以上の実務経験、動物愛護管理センター等が実施する動物取扱責任者講習が求められる点もポイントです。

登録の基本的な流れ

  • 必要書類の準備
  • 施設設備の要件確認
  • 動物取扱責任者の資格・経験要件の確認
  • 管轄の保健所・動物愛護センター等への申請
  • 施設の立入検査
  • 登録証の交付

通常、申請から交付まで約1〜2か月の期間を要します。

行政書士に依頼する場合の流れとメリット

行政書士って何をしてくれるの?

まず、「行政書士」とは、法律で定められた国家資格者で、役所に提出する書類の作成や手続きを代わりに行ってくれる専門家です。

動物取扱業登録も、その対象になるので、依頼すると面倒な書類作りや役所とのやり取りを丸ごと任せることができます

行政書士に依頼する場合の流れ

初回相談・ヒアリング

まずは事業内容や施設の場所、予定しているサービス内容(ペットカフェ?ホテル?トリミング?など)を詳しくお聞きします。
あわせて、動物取扱責任者になれる人がいるか、その方の資格や経験の有無も確認。

動物取扱責任者の資格確認

動物取扱責任者になるための資格(例:愛玩動物飼養管理士など)があるか、実務経験があるか、証明できる書類があるかをチェック。
不足があれば、どうすれば要件を満たせるかアドバイス。

施設の設備チェック

施設の図面(間取り)や設計を確認し、動物愛護法の基準を満たしているか事前にチェック。
例えば「床が滑りにくい素材か」「空調設備が適切か」「動物ごとのスペースが確保できているか」などを確認。
必要なら設計の修正ポイントもアドバイス。

必要書類の収集と作成

動物管理計画書や、資格証のコピー、施設の写真、賃貸なら賃貸借契約書など、役所に出すための書類を全て整理。
必要なものを依頼者から預かり、行政書士が記入が難しい部分もまとめて作成。

申請書の作成と代理提出

完成した書類を行政書士が代わりに提出。依頼者が役所に出向く必要なし。
書類に不備がないか行政と事前相談も行うので、補正(修正)の手間も少ない

立入検査の立ち会い・サポート

申請後、役所の担当者が施設の立入検査に来ます。
このとき行政書士が同席して、検査官からの質問に代わりに説明したり、状況に応じた対応もサポート

登録証の交付、開業準備のアドバイス

無事に登録証が交付されたら、標識(登録証の掲示方法)や、帳簿のつけ方、今後の注意点も丁寧に説明
実務上よくあるミスや行政処分を避けるコツも教えてもらえる。

開業後のサポートもOK

開業後に事業内容の変更・施設移転・責任者変更などがあれば、行政への届出も代行可能。
登録更新(5年ごと)のときも、書類作成や手続きの相談ができるので安心。

行政書士に依頼するメリット

  • ややこしい法律用語や書類のルールを気にしなくてOK!
  • 役所とのやり取りも代行するから、仕事を休んで役所に行く手間なし!
  • 申請がスムーズに通るよう、事前に問題点をチェック&対策できる
  • 立入検査当日も心強い味方になってくれる
  • 開業後の相談・変更・更新手続きも頼れる相手がいる

特にペットショップ・ペットカフェ・ホテルの開業前は準備が忙しく、書類作成や役所対応の時間を取るのが大変
行政書士に頼むと、余計なストレスなく、安心して開業準備に集中できます。

自分で申請する場合の注意点

自分で申請することも可能ですが、以下の点に注意が必要です。

  • 法律用語が多く、書類の記入ミスが発生しやすい
  • 行政様式は細かく、申請書類に不備があると何度も役所に呼ばれる
    補正指示で開業が遅延
  • 床材・空調・防音・排水設備など細かな基準あり。施設基準は設計段階で要確認
  • 立入検査の日程調整・対応もすべて自分で行う
    当日に不適合箇所があると再検査になり、登録保留
  • 資格、実務経験の証明や施設図面の要件も複雑
  • 標識や帳簿の形式・記載内容にも細かなルールあり
    標識はA3サイズで掲示義務、帳簿は5年間保存義務
  • 登録後も変更届、更新手続きが必要
    怠ると登録取消しの行政処分

開業準備と並行してこれらの手続きを進めるのは、かなり大変です。

よくある違反事例5選

実際に行政指導・営業停止・書類送検になったケースもありますので、しっかり確認しましょう。

無登録でペットカフェを開業

→「ふれあいのみで販売はしないから」と登録せずにオープン。
動物の展示に該当し、営業停止+罰金

動物取扱責任者の要件未達

→動物取扱責任者に資格・実務経験が足りないスタッフを置いて営業。
即日指導・改善命令。最悪営業停止も

施設基準の未達

→犬のケージの広さや換気設備が基準に達していないまま開業。
行政の立入検査で是正命令+罰金対象

貸出動物の無届け繁殖

→ペットレンタル業者が登録外で勝手に繁殖し販売。
無登録販売として刑事事件化

譲渡会での販売行為

→保護犬の譲渡会で寄付名目の金銭を受領し実質販売。
動物販売業の登録がなく、行政指導+罰金

都道府県ごとの細かな運用の違い

実は、動物取扱業の基準は動物愛護管理法(第10条)に基づき全国共通ですが、
各都道府県ごとに条例や運用基準で細かな差があります。特に以下の点に注意!

内容
ケージや飼育施設の広さ基準東京都・大阪府は基準が厳しめ
動物取扱責任者の要件一部自治体で「実務経験の証明方法」を厳格化
立入検査の頻度愛知県・福岡県など都市部は検査頻度が高い
ふれあいイベントの許可要件千葉県は事前協議が必須
動物の種別による基準東京都は特定動物・爬虫類の取扱基準が独自

動物取扱業の登録は、全国一律の法律だけでなく、自治体ごとの細かな運用ルールも確認するのが超重要です。
行政書士に依頼する最大のメリットは、この地域差も完全に把握した上でサポートしてもらえることです。

登録後の義務と注意点

登録を受けた後も、以下の義務があります。

  • 登録標識の掲示
    →施設の見やすい場所に常時掲示。
  • 帳簿の作成と保存
    →動物の入出庫、健康管理状況を帳簿に記録し5年間保存
  • 動物の健康・衛生管理
    →施設の清掃、消毒、健康診断を適切に実施
  • 年1回の動物取扱責任者講習の受講
    →未受講は行政処分の対象
  • 変更届・廃業届・登録更新
    →5年ごとの登録更新、事業所移転や責任者変更も届出必須
  • 違反時の罰則
    →無登録営業:6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(動愛法第45条)

違反があると、行政指導や登録の取消しのリスクも。開業後も継続して気を付けましょう。

まとめ

ペットショップ、ペットカフェ、ペットホテルの開業には、必ず動物取扱業登録が必要です。
登録のためには施設や責任者の要件、適正な飼養管理基準を満たす必要があります。

行政書士に依頼すれば、書類作成や施設確認、行政対応までトータルでサポートが受けられ、スムーズに開業できるメリットがあります。

これから動物関連ビジネスを始める方は、まずはお気軽に行政書士へご相談ください。

次回予告

次回のブログでは、「ペット霊園・動物火葬業の届け出と実務」について詳しく解説します。

ペット法務分野での開業をお考えの方は、ぜひご期待ください!

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