【第4回】民法とドローン|プライバシー・損害賠償・越境トラブルの落とし穴【初心者向け完全解説】

キリヒラク
キリヒラク

こんにちは!
キリヒラク行政書士オフィスの代表・行政書士です。

この「ドローン×法律×行政書士」シリーズも第4回。
今回は『民法とドローン』について解説します。

アイミ
アイミ

航空法や道路交通法はわかったけど、民法も関係あるの?

キリヒラク
キリヒラク

と思われる方も多いですが、実はトラブルの多くはこの民法が関わる部分なんです。

例えば…

  • 隣の家の敷地の上をドローンが飛んでしまった
  • 撮影中に他人の姿が映り込んでトラブルに
  • 飛行中にドローンが墜落して人の車を傷つけた

こんなとき、適用されるのが民法のルール。
今日は民法とドローンの関係、注意すべき事例、トラブル防止策をしっかりお伝えします。

まず民法とは、

個人や法人同士の権利・義務のルールを定めた法律です。

「他人の敷地に無断で入らない」
「他人の物を壊したら弁償する」

…そんな日常生活の基本ルールも、この民法で決まっています。

ドローンに関係する民法のルール3つ

① 不法行為責任(民法第709条)

他人に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任が発生します。

例)

  • ドローンが墜落し、他人の車に傷をつけた
  • 操縦ミスで人にけがをさせた

この場合、修理費用や治療費、慰謝料を請求される可能性があります。

② プライバシー権の侵害

他人の私生活を無断で撮影・公開することは、プライバシー侵害になります。
判例でも、「姿が映る」「生活状況が写る」「自宅の中が映る」などはトラブルになるとされています。

例)

  • ドローンで住宅街を撮影→住民の姿が映る
  • 窓越しに室内が映る

こうした場合、削除請求・損害賠償請求のリスクがあります。

③ 土地の所有権(民法第207条)

土地の所有権は地上・地下に及ぶとされています。
つまり、他人の敷地の上空を無断で飛行する行為は越境行為とみなされ、トラブルになることがあります。

例)

  • 隣の家の庭の上空を飛ばした
  • 隣地の真上でホバリング

相手から「勝手にうちの敷地の上を飛ばすな!」と言われれば、それでトラブル成立です。

【民法絡み】ドローンのよくある注意事例20選

No.概要具体例
1墜落事故ドローンが駐車中の車のフロントガラスを破損
2プライバシー侵害飛行中に他人の洗濯物・室内が映り込む
3土地の越境飛行隣の家の庭の上を無断で通過
4ペットへの危害飛行音に驚いた犬がケガをした
5騒音クレーム住宅街での長時間ホバリング
6通行人との接触操縦ミスで歩行者に接触しケガ
7プライベートイベントの撮影侵入他人の庭で行われていたBBQを無断撮影
8ドローン部品の落下プロペラガードが外れ、通行中の自転車に当たる
9私有地での無断離着陸店舗駐車場を無断で使用し注意される
10住居の敷地内への墜落他人のベランダに墜落し破損
11航空写真での権利侵害個人宅の屋上利用状況を撮影しSNS投稿
12騒音による体調被害高齢者宅で騒音により不眠を訴えられる
13ペットの行動異常ドローン音で猫が脱走し行方不明
14公園内でのドローン事故子供の遊び場で墜落しケガ
15植物の破損隣家の庭木にぶつかり枝を折る
16水上での飛行墜落池に墜落し、釣り客の道具を破損
17観光地での騒音トラブル静寂を楽しむ参拝者の迷惑になる
18ドローンの追尾撮影で通行妨害自転車を追尾中、他人の通行を妨げる
19集合住宅の共用部飛行マンション敷地内を無断飛行し管理組合から苦情
20祭事・地域行事への無断参加撮影地元の行事を上空から勝手に撮影し問題化

上記事例のほとんどが、

  • 損害賠償責任(民法709条)
  • プライバシーの侵害
  • 所有権侵害(越境飛行)

に該当する可能性が高いです。

これらを防ぐ方法

  • 飛行ルートの事前確認
    → Googleマップや現地確認で、敷地境界や住宅の位置を把握
  • 近隣住民や施設管理者への許可・同意取得
    → 他人の敷地上空を飛ばすときは、口頭や書面で同意をもらう
  • 飛行映像のプライバシーチェック
    人の顔や室内映像はモザイク・カットする
  • 賠償責任保険への加入
    → 墜落や損害賠償に備え、対人・対物賠償保険に必ず加入
  • 離着陸場所の適切な選定

特にトラブル事例1〜5は初心者の方が一番多く経験する部分ですので、最初のフライト前にしっかり確認してくださいね。

行政書士ができること

キリヒラク行政書士オフィスでは、
ドローン飛行に関する事前調査、近隣への同意確認、飛行計画書の作成も行っています。

リク
リク

この飛行ルートで大丈夫かな…

アイミ
アイミ

隣の家の上を飛んでもいいか確認したい

そんなときもお気軽にご相談ください。

トラブルを未然に防ぐ飛行プランの作成と法的リスク回避のお手伝いをいたします。

まとめ

ポイント内容
民法はプライバシーや損害賠償のルール墜落・映り込み・越境飛行に注意
土地の所有権は地上にも及ぶ無断で敷地上空を飛ばさない
未然防止が最重要保険加入・同意取得・映像チェック

次回予告

次回第5回では、ドローン撮影で避けて通れない「個人情報保護法」について解説します。

実は「人の顔」「車のナンバー」「住所プレート」など、飛行中の映像や静止画に映り込むものの扱いには注意が必要です。

許可なく公開・保存した場合のリスクや、正しいデータ管理の方法をわかりやすくお伝えしますので、ぜひチェックしてくださいね!

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