遺言執行とは?遺言執行者(遺言執行人)の役割・選び方・手続きの流れをやさしく解説

アイミ
アイミ

遺言書は作った。これで安心…のはずなのに、実際に手続きが進まない

キリヒラク
キリヒラク

て聞いたことありませんか?

実は、遺言は“書いて終わり”ではなく、“実現して初めて意味がある”ものです。
その“実現係”になるのが 遺言執行(いごんしっこう)、そして 遺言執行者(遺言執行人) です。

この記事では、次の悩みを解決します。

  • 遺言執行って、結局なにをするの?
  • 遺言執行者って誰に頼めばいい?家族でもOK?
  • 指定しないと困るケースは?
  • 家庭裁判所での選任はどうやるの?必要書類は?
  • トラブルにならないポイントは?

遺言執行とは、遺言書に書かれた内容(名義変更・引渡し・解約・登記など)を、現実の手続きとして完了させることです。

ここが大事なのですが、遺言があっても——

  • 銀行の解約・名義変更
  • 不動産の相続登記
  • 生命保険の請求
  • 相続人への通知や書類収集

などの実務は自動で進みません。

「誰が」「責任を持って」「必要な手続きを」進めるか。
それを担うのが遺言執行者です。

遺言執行者(遺言執行人)とは?いちばん簡単に言うと「遺言の実現担当」

民法では、遺言執行者は 遺言内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務がある、と整理されています。

さらに、遺言執行者が権限内で行った行為は、相続人に直接効力が生じる(=相続人の協力が得られなくても一定範囲で前に進めやすい)という方向で、権限関係が明確化されています。

遺言執行者が「いると強い」典型ケース

「うちは家族仲良いし、いらないかな…」と思っていても、次のようなケースは指定を強くおすすめします。

(1)相続人が多い/関係が微妙

相続人が複数いると、連絡・同意・書類の回収だけで止まりがちです。

(2)遺贈(相続人以外に渡す)がある

たとえば「内縁の妻へ」「孫へ」「世話になった人へ」など。
この場合は、相続人側が協力的でないと揉めやすいので、執行者がいると進めやすいです(遺言執行者が遺贈の履行を担う整理もされています)。

(3)認知・廃除・取消しなど“身分行為”が絡む

家庭裁判所や戸籍実務も絡むため、実務に慣れた人が回した方が安全です。

(4)不動産がある/登記が必要

相続登記は申請書類が多く、遺言の文言次第で補正(やり直し)も起こります。

遺言執行者は誰になれる?家族でも専門家でもOK

原則として、遺言執行者は 個人でも法人でもなれます(※細かな欠格はケースにより確認が必要)。
現実的な候補はこの3つです。

A. 相続人のうち1人(長男など)

メリット:話が早い、費用が抑えられる
デメリット:他の相続人から「偏ってる」と不信を持たれやすい/感情が絡む

B. 相続人ではない親族・知人

メリット:中立に見える場合も
デメリット:手続きが重く、途中で止まりやすい(平日に役所・銀行対応が必要)

C. 専門家(行政書士・弁護士・司法書士等)

メリット:実務が進む、説明責任を果たしやすい、トラブル予防ができる
デメリット:費用がかかる(ただし、止まって揉めるコストより安いことも多いです)

遺言執行の全体フロー

遺言執行は、だいたい次の順で進みます。

  1. 死亡の確認・関係者への初動連絡
  2. 遺言書の確認(方式チェック)
  3. 必要に応じて検認(自筆証書など。公正証書は通常不要)
  4. 相続人・受遺者への通知、財産調査
  5. 預貯金・証券・保険・不動産などの名義手続き
  6. 遺贈の履行、分配、引渡し
  7. 完了報告・書類整理(後日の紛争予防のため超重要)

遺言執行者が決まっていないとき:家庭裁判所で「選任」できる

遺言で執行者が指定されていない、または候補者が就任できない場合は、家庭裁判所に「遺言執行者選任」の申立てができます。

裁判所が案内している標準的な添付書類は、たとえば次のとおりです(事件記録の保存状況によって省略できるものがあります)。

  • 申立書
  • 遺言者の死亡記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)
  • 遺言執行者候補者の住民票等
  • 遺言書写し(または検認調書謄本の写し)
  • 利害関係を示す資料(親族なら戸籍等)

※申立書の書式・記載例も裁判所サイトにあります。

よくあるトラブルと、回避のコツ

トラブル1:相続人が非協力的で手続きが止まる

遺言執行者を置く/遺言の文言を実務向けに整える(金融機関・登記に通る表現)

トラブル2:執行者が「何をどこまでしていいか」分からず放置

→ 就任前に「やること一覧(チェックリスト)」を作る
→ 専門家にスポット相談でもOK

トラブル3:費用・報告が不透明で揉める

→ 最初に「報告頻度」「立替費用の扱い」「完了時の精算」を決める
→ 証拠が残る形(メール・書面)にする

迷ったらここだけチェック:遺言執行者を“置いた方がいい人”診断

1つでも当てはまったら、遺言執行者の指定を前向きに検討してください。

  • 相続人が複数いる
  • 相続人以外への遺贈がある
  • 不動産がある
  • 再婚・前妻(前夫)との子がいる
  • 特定の相続人に多く渡す内容
  • 家族の関係がギクシャクしている
  • 手続きを家族に背負わせたくない

よくある質問(Q&A)

遺言執行者は必須ですか?
必須ではありません。ただ、相続人が多い・遺贈がある・不動産がある等は、置かないことで手続きが止まりやすいです。
遺言執行者に指定されたら断れますか?
状況によっては辞任もあり得ます。現実的には「就任前に負担を把握する」ことが大事です。
家族を執行者にすると揉めますか?
親族関係や内容によりますが、揉める可能性はあります。
だからこそ、報告ルールや手続き範囲を最初に明確にするのが効きます。
公正証書遺言でも執行者は必要?
公正証書だから“手続きが不要”ではありません。執行者がいると、実務がスムーズになるケースは多いです。

行政書士としてできるサポート(例)

  • 遺言の文言チェック(執行実務で止まらない表現に調整)
  • 遺言執行者を置くべきかの診断(家族構成・財産別)
  • 就任する執行者向けの「手続きロードマップ」作成
  • 必要書類の収集代行(戸籍・住民票等)
  • 金融機関・各種名義手続きの段取り支援(※対応範囲は個別に整理)
  • 専門家としての、遺言執行者への就任

まとめ:遺言は「書く」より「実現できる形にする」ことが大切

遺言執行者は、相続の現場でいちばん多い悩み——
「誰がやるの?」「どう進めるの?」「揉めたら止まる…」
をまとめて解決しやすくする仕組みです。

もし今、あなたが

  • 遺言を書こうとしている
  • すでに遺言があるが、家族に負担をかけたくない
  • 相続人関係が複雑で不安

という状況なら、遺言執行(=実現)までセットで設計しておくのがおすすめです。

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