
相続土地国庫帰属制度を使いたいと思ったら、まず何をすればいいのですか?

制度の名前を知っていても、実際の手続きの流れまではわかりにくいですよね。
特に初めての方は、
- どこに相談するのか
- 何を準備するのか
- いつ費用がかかるのか
- 承認された後はどうなるのか
が気になると思います。
相続土地国庫帰属制度は、思いつきでいきなり申請するというより、土地の状態を確認し、必要書類を整えたうえで法務局に申請する制度です。
法務省は制度の概要、提出先、提出書類、負担金までを手引きや専用ページで案内しています。
この記事では、申請手続きの流れを、初心者の方にもわかるように順番に解説します。
手続きの全体像は6つのステップです
相続土地国庫帰属制度の流れは、大きく分けると次の6段階です。
- 制度を使える土地か確認する
- 事前相談をする
- 必要書類を集めて申請書を作る
- 法務局へ承認申請をする
- 法務局の審査を受ける
- 承認後に負担金を納付し、土地が国庫に帰属する
法務省の「ご案内」でも、承認申請から審査、承認、負担金納付、国庫帰属という流れが示されています。
まずは制度を使える土地か確認する
最初に大切なのは、その土地が制度の対象になりそうかを確認することです。
相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈で取得した土地が対象ですが、すべての土地が申請できるわけではありません。
たとえば、建物がある土地、担保権が付いている土地、境界が明らかでない土地などは対象外になり得ます。法務省はこれらを却下要件・不承認要件として公表しています。
そのため、手続きの出発点は「この土地は制度に合う状態か」を見ていくことです。
事前相談をする

制度を利用したいと考えたら、次におすすめなのが法務局での事前相談です。
法務局では、相続土地国庫帰属制度について事前相談を実施しており、申請前に土地の状況や必要書類について確認することができます。
各地方法務局でも、まず法務省の「申請の手引き」を確認したうえで事前相談を利用するよう案内しています。
事前相談では、一般に
- その土地が制度の対象になりそうか
- どの書類が必要になりそうか
- 問題になりそうな点は何か
を整理しやすくなります。
いきなり申請書を書くよりも、先に相談して見通しを立てる方が安心です。
必要書類を集める
事前相談などで方向性が見えたら、申請に必要な書類を集めていきます。
法務省の案内では、承認申請書のほか、土地の位置や範囲を示す図面、現地写真、土地の状況を示す資料などが必要書類として示されています。
土地の状況によって追加資料が求められることもあります。
代表的には、次のような資料を準備する流れになります。
- 承認申請書
- 土地の位置図
- 土地の形状や範囲を示す図面
- 隣地との境界点を示す写真
- 土地や周辺の状況がわかる写真
- 承認申請チェックシートなどの確認資料
申請書を作成する
必要書類がそろってきたら、承認申請書を作成します。
申請書には、申請者の情報、土地の表示、土地の状況などを記載します。
共有地の場合は共有者全員で申請することになるため、単独所有の土地より確認事項が増えます。
また、相続登記が終わっていなくても申請は可能です。
被相続人名義のまま申請でき、承認後の所有権移転登記は法務局側で行われる仕組みです。
法務局へ承認申請をする

書類が整ったら、土地を管轄する法務局・地方法務局本局に承認申請を行います。申請先・相談先は法務省の専用ページでも案内されています。
申請時には、審査手数料として土地一筆あたり14,000円が必要です。
この手数料は、承認されるかどうかにかかわらず必要になる費用です。
ここで注意したいのは、土地が複数筆ある場合です。
一体として使っている土地でも、筆ごとに手数料が必要になることがあるため、事前に確認しておくと安心です。法務省も手数料を「土地一筆当たり」と案内しています。
法務局による審査が行われる
申請が受理されると、法務局による審査が始まります。
審査では、書類の内容だけでなく、必要に応じて実地調査が行われることがあります。
審査で見られる主なポイントは、
- 却下要件に当たらないか
- 不承認要件に当たらないか
- 境界や土地の状況が申請内容と合っているか
- 国が通常の管理や処分を行える土地か
といった点です。
ここで追加資料の提出を求められることもあります。
そのため、申請して終わりではなく、審査の途中で対応が必要になることもあると考えておくとよいです。
承認されたら負担金を納付する
審査の結果、要件を満たすと判断されると、法務大臣の承認がされます。
ただし、承認された時点ですぐに国の土地になるわけではありません。
承認後は、申請者が負担金を納付する必要があります。
負担金は原則20万円ですが、土地の種類や面積などによって算定される場合があります。
この負担金は、国がその土地を管理していくための費用負担という位置づけです。
負担金を納付すると、土地が国庫に帰属する
負担金を納付すると、その土地は正式に国庫に帰属します。
そして、この段階で必要な所有権移転登記は法務局側で行われるため、申請者が自分で国への所有権移転登記を別途申請する仕組みではありません。
つまり、初心者の方にとっては、
- まず制度に合う土地か確認する
- 法務局に承認申請をする
- 承認後に負担金を納付する
という流れを押さえておけば、全体像はかなりつかみやすくなります。
手続きで特に大切なのは「申請前の準備」です
相続土地国庫帰属制度は、申請書を出すこと自体よりも、申請前の確認と準備がとても大切です。
たとえば、
- 建物が残っていないか
- 境界は明らかか
- 残置物はないか
- 共有者全員で申請できるか
といった点です。
こうした部分が整理できていないと、申請しても途中で止まりやすくなります。
法務省が相談票、チェックシート、手引きまで公開しているのも、申請前の確認が重要だからです。
どのくらい時間がかかるのか

申請から承認までの期間は、土地の状況や法務局の審査状況によって変わります。
全国一律の処理期間が明示されているわけではありませんが、個別の法務局では標準処理期間を公表している例もあります。
たとえば甲府地方法務局では、承認申請の標準処理期間を「8か月」と案内しています。
これはあくまで一例であり、土地の内容や審査状況で変動します。
そのため、実務では
「すぐ終わる手続き」ではなく、一定の準備と審査期間を見込んで進める制度
と考えておくとよいです。
豊中で相続土地国庫帰属制度を考えている方へ
豊中にお住まいの方でも、相続する土地は大阪府外の山林や農地、遠方の空き地ということが少なくありません。
そのため、
- 現地をよく見ていない
- 書類がそろっているかわからない
- 共有者との話し合いが必要
- どの法務局に相談すればよいかわからない
という状態からスタートすることも多いです。
相続土地国庫帰属制度は、制度の名称だけ知っていても進めにくい一方で、流れを順番に整理すると見通しが立てやすい制度でもあります。
当事務所でも、豊中で相続に関するご相談をお受けしており、相続土地国庫帰属制度についても、書類の整理や手続きの見通しづくりなど、できる限りわかりやすくご案内しています。
「まだ相談するほどではないかも」と思う段階でも、まずは状況を整理することが第一歩になります。
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