はじめに
近年、ドローンの活用が広がり、空撮や測量、点検業務などさまざまな場面で利用されています。しかし、ドローンを飛行させる際には、特定の条件下では「特定飛行」として国土交通省の許可・承認が必要になります。本記事では、「特定飛行」とは何か、その具体的な条件、申請方法について、行政書士が詳しく解説します。
ドローンの特定飛行とは?
「特定飛行」とは、航空法に基づき、安全な飛行が確保されない可能性があると判断される飛行のことを指します。具体的には、以下の飛行が該当します。
特定飛行の種類(航空法132条の85、86)
- 人口集中地区(DID地区)での飛行
- 空港等の周辺
- 緊急用務空域
- 150m以上の上空での飛行
- 夜間飛行
- 目視外飛行(補助者なし)
- 人または物件との距離が30m未満の飛行
- 催し場所上空(イベント上空)での飛行
- 危険物の輸送
- 物件投下(荷物の投下)
上記の飛行を行う場合は、国土交通省の許可・承認が必要になります。
特定飛行の許可・承認が必要な理由
特定飛行は、通常の飛行よりも安全リスクが高いため、国が規制を設けています。無許可でこれらの飛行を行うと、航空法違反となり、罰則が科される可能性があります。
法令の根拠(航空法132条の85第4項、86第5項)
航空法では、安全な運航を確保するため、特定飛行に関して以下のように定めています。
特定飛行による飛行禁止は、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合は適用しない。
許可を受けることで、安全な飛行が確保できるよう、適切な運用管理が求められます。
対象となるドローンの条件
特定飛行の許可が必要となるのは、以下の条件を満たすドローン(無人航空機)です。
(1)無人航空機の定義(航空法第2条22項)
航空法では、**「無人航空機」**を「人が乗ることができない機体であり、遠隔操作または自動操縦により飛行するもの」と定義しています。
「この法律において『無人航空機』とは、構造上、人が乗ることができず、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるものをいう。」
そのため、トイドローン(重量100g未満)は航空法の規制対象外となり、特定飛行の許可は不要ですが、100g以上のドローンは規制対象となります。
(2)規制対象となるドローンの重量
- 100g未満 → 航空法の適用外(特定飛行の許可不要)
- 100g以上 → 航空法の適用対象(特定飛行の許可が必要)
そのため、市販されている多くの業務用・撮影用ドローン(DJI製品など)は、特定飛行の対象になります。
特定飛行の許可申請の流れ
特定飛行を行うためには、以下の手順で申請を行う必要があります。
(1) 申請準備
- 飛行計画の作成(日時・場所・飛行目的など)
- 機体情報(型式・登録番号など)
- 操縦者の資格・経験
- 安全対策の策定(飛行ルール・リスク管理)
(2) 申請方法
国土交通省が運営する「DIPS(ドローン情報基盤システム)」を利用してオンライン申請を行います。
(3) 審査・許可
申請内容に問題がなければ、1〜2週間程度で許可が下ります。ただし、内容によっては追加資料の提出を求められることもあります。
行政書士に依頼するメリット
特定飛行の申請は、適切な書類の準備や法的要件を満たす必要があり、手続きが複雑です。行政書士に依頼することで、以下のメリットがあります。
- 申請書類の作成代行(正確な書類作成)
- 法令遵守のサポート(航空法・関連法規への対応)
- 迅速な許可取得(スムーズな申請・手続き)
- トラブル回避(不許可リスクの低減)
まとめ
ドローンを安全かつ合法的に運用するためには、特定飛行に該当する場合に適切な許可申請を行うことが重要です。特定飛行の規制や申請手続きについて不安がある場合は、行政書士に相談することでスムーズに許可を取得できます。

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