
相続した土地がいらないのですが、どんな方法がありますか?

ここまでシリーズで、相続土地国庫帰属制度について順番に見てきました。
ただ、実際には相続した土地を手放す方法は1つではありません。
土地の状況や、相続財産全体の内容によっては、
- 相続放棄を考えた方がよい場合
- 売却を目指した方がよい場合
- 空き家バンクなど別の流通手段を使った方がよい場合
- 相続土地国庫帰属制度が合いやすい場合
があります。
この記事では、相続した土地を手放す主な方法をまとめて、「自分にはどの方法が合いやすいのか」を考えやすいように解説します。
まず知っておきたいこと|「いらない土地」でも自動では手放せません
最初に知っておきたいのは、相続した土地が不要であっても、何もしなければ自動的に手放せるわけではないということです。
相続放棄をしない限り、原則として相続人は土地を含む相続財産を承継する方向になりますし、相続土地国庫帰属制度も、申請して承認を受ける必要があります。
相続放棄は家庭裁判所への申述が必要であり、国庫帰属制度も法務局への承認申請が必要です。
そのため、「不要だから放っておけばよい」と考えてしまうと、固定資産税や管理負担、将来の相続時の権利関係の複雑化につながることがあります。
相続した土地を手放す主な方法は4つあります
初心者の方にわかりやすく整理すると、相続した土地を手放す方法としては、主に次の4つを考えることが多いです。
- 相続放棄
- 売却
- 空き家バンク等の活用
- 相続土地国庫帰属制度
もちろん個別事情でほかの方法もあり得ますが、まずはこの4つを押さえると全体像がつかみやすいです。
相続放棄は裁判所、国庫帰属制度は法務省、空き家・空き地バンクは国土交通省がそれぞれ公式に案内しています。
相続放棄|土地だけでなく相続全体を受けない方法
相続放棄は、被相続人の財産や債務を一切受け継がない制度です。
裁判所は、相続放棄を「被相続人の権利や義務を一切受け継がない」ものとして案内しています。
そのため、
- 土地だけでなく預貯金もいらない
- 借金が多い
- 相続全体から離れたい
という場合には、相続放棄が選択肢になります。
一方で、土地だけ放棄して預貯金は受け取るという使い方はできません。
裁判所の資料でも、一部の財産だけの相続放棄はできないと案内されています。
さらに、相続放棄には相続開始を知った時から3か月以内という期限があり、手続先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。
費用は申述人1人につき収入印紙800円と連絡用郵便切手が基本です。
売却|まず検討しやすい現実的な方法
相続した土地を手放したい場合、まず現実的な選択肢として考えやすいのが売却です。
特に、需要があるエリアの土地や、接道・形状・権利関係に大きな問題がない土地であれば、売却できる可能性があります。
売却のメリットは、土地を手放せるだけでなく、お金に換えられる可能性があることです。
一方で、地方の山林や農地、接道に問題がある土地、需要が乏しい土地では、売却が難しいこともあります。
そうした場合は、次の空き家バンクや国庫帰属制度の検討に進みやすくなります。
空き家バンク・空き地バンク等の活用|通常売却が難しい土地の選択肢
すぐに通常の不動産売却が難しい場合でも、空き家バンク・空き地バンクのような仕組みを通じて流通の可能性を探る方法があります。
国土交通省は、全国版空き家・空き地バンクの総合情報ページや、全国の自治体等の空き家・空き地情報サイトのリンク集を公開しています。
こうした仕組みは、
- 地方の土地
- 空き家付き土地
- 一般の市場では動きにくい不動産
に向いていることがあります。
また、国土交通省は「農地付き空き家」の手引きも公開しており、地域によっては空き家と農地を一体で活用する考え方も紹介しています。
もちろん、空き家バンクに載せれば必ず処分できるわけではありません。
ただ、いきなり国庫帰属だけを考えるのではなく、まず流通の可能性を探るという意味では、知っておきたい方法です。
相続土地国庫帰属制度|要件を満たす土地を国に帰属させる方法

相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈で取得した土地について、一定の要件を満たす場合に、国庫に帰属させる制度です。
法務省は制度概要、申請方法、必要書類、手数料、負担金などを案内しています。
この制度の大きな特徴は、土地だけを対象にできることです。
そのため、
- 預貯金など他の財産は相続したい
- でも管理できない土地だけは手放したい
という場合に使いやすい制度です。法務省は相続放棄との違いとして、国庫帰属制度では特定の土地の所有権のみを手放せると説明しています。
ただし、どんな土地でも使えるわけではなく、建物がある土地、境界が明らかでない土地、管理に過分な費用や労力がかかる土地などは対象外になり得ます。
申請時には一筆当たり14,000円の審査手数料、承認後には原則20万円の負担金が必要です。
どの方法が向いているかを簡単に整理すると
初心者の方が考えやすいように、かなり大まかに整理すると次のようになります。
- 相続放棄
借金も含めて相続全体を受けたくない方に向いています。
3か月以内という期限が特に重要です。 - 売却
土地に需要があり、買い手が見込める場合に向いています。
まず市場で処分できないかを考えるのは自然です。
空き家・空き地の流通支援策として国土交通省のバンク情報も参考になります。 - 空き家バンク・空き地バンク
通常売却が難しい土地でも、地域のマッチングで活路がある場合に向いています。 - 相続土地国庫帰属制度
他の財産は相続したいが、一定の要件を満たす不要土地だけを手放したい方に向いています。
費用だけでなく、持ち続ける負担もあわせて考えることが大切です

どの方法を選ぶときも、目の前の手続費用だけで決めないことが大切です。
たとえば、相続土地国庫帰属制度には審査手数料や負担金がありますが、土地をそのまま持ち続ければ、固定資産税、管理の手間、将来の相続時の権利関係整理、次の世代への負担の持ち越しといった問題が続くことがあります。
そのため、
「いま払う費用が高いか安いか」だけではなく、持ち続けた場合の維持費や将来の負担と比較して考えること
がとても大切です。
これは、相続土地国庫帰属制度を選ぶかどうかに限らず、売却や相続放棄を考えるときにも共通する視点です。
迷ったときは「土地だけ」でなく「相続全体」を見ることが大切です
実際の判断では、土地単体だけを見るより、相続財産全体を見て考えることが重要です。
たとえば、預貯金など他の財産が十分あるなら、相続放棄をするとそれらも受け取れなくなります
逆に、借金が多いなら、土地の処分方法を考える前に相続放棄を優先して検討した方がよい場合があります。
相続放棄は相続全体を対象にする制度であり、国庫帰属制度は土地だけを対象にする制度だからです。
つまり、
- 土地だけの問題なのか
- 相続全体の問題なのか
を切り分けることが、方法選びの第一歩になります。
豊中で相続した土地の対応に悩んでいる方へ
豊中にお住まいの方でも、相続した土地が遠方の山林、空き地、農地ということは少なくありません。
そのため、
- 売れる土地なのか
- 相続放棄を考えるべきか
- 国庫帰属制度の対象になりそうか
- 空き家バンク等で動かせる余地があるか
といった点で迷われることがあります。
法務省、裁判所、国土交通省はそれぞれの制度や窓口を公式に案内していますが、実際には自分のケースに当てはめて整理することが大切です。
当事務所でも、豊中を拠点に、相続に関する書類整理や手続きのご相談に対応しています。
相続土地国庫帰属制度についても、制度利用の見通しの整理、必要書類の確認、申請準備の流れの整理など、状況に応じてお手伝いできることがあります。
「何を選ぶのがよいのか、まず全体を整理したい」という段階でも、落ち着いて順番に見ていくことが大切です。
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