
遺言って、必要だと思うけど……まだ元気だし、急がなくてもいいかな。

もし今、あなたがそう感じているなら、まず言わせてください。
その感覚は、とても自然です。
遺言は毎日考えるものでもありませんし、できれば考えたくないテーマでもありますよね。
でも実は、遺言の相談でよく起きるのが、

作ろうと思ったのに、作れなかった。
もっと早く相談しておけばよかった。

というケースです。
この記事では、なぜ「まだ元気だから大丈夫」が危ないのかを、専門用語をなるべく使わずに、やさしく丁寧に解説します。
読み終わるころには、“今すぐ作るべきかどうか”の判断ができるようになります。
遺言は「いつでも作れる」と思われがちです
遺言と聞くと、
- 高齢になってからでいい
- 病気になったら考えればいい
- 何か起きてからで間に合う
そう思ってしまいがちです。
ですが、遺言にはひとつだけ、避けて通れない条件があります。
それが 「判断能力(ちゃんと理解して決められる力)」 です。
遺言には「判断能力」が必要です
ここで難しい話はしません。
とてもシンプルに言うと、遺言を書くときには、
- 自分が何を持っているのか(財産)
- 誰に何を渡したいのか
- その内容を自分で理解して決めているか
が必要です。
つまり、本人が“内容を理解したうえで、自分の意思で決めた”と言える状態でないといけません。
そして、これが厄介なのは……
判断能力は、ある日突然下がることがある
という点です。
判断能力は「じわじわ」だけではありません
「判断能力が落ちる」と聞くと、多くの方は「認知症で完全にわからなくなった状態」をイメージします。
でも実務では、もっと現実的に、こういうことが起こります。
- 入院して薬の影響でぼんやりする
- 病気や手術で体力が落ち、会話が成り立ちにくくなる
- 軽い認知症の段階で、日によって状態が変わる
- 脳梗塞や転倒など、急な出来事が起きる
そして、そのタイミングで家族が慌てて相談しても、
「今の状態では、遺言の作成は難しいかもしれません」
となってしまうことがあるのです。
ここが、いちばんつらいところです。
本人も家族も、「まさかそんなことになるなんて」と思っているのに、作れない。
よくある「間に合わなかった」ケース

少し具体的に、よくあるパターンをご紹介します。
(※個人が特定されないよう一般化しています)
ケース①:入院してから「落ち着いたら」と言っているうちに…
入院すると、体力も気持ちも落ちます。
「退院したら考える」「落ち着いたら相談する」と言っている間に、状態が変わってしまうことがあります。
ケース②:家族が代わりに相談に来たが…
家族が相談に来るのは悪いことではありません。
ただ、遺言は本人の意思が何より大切なので、最後は本人の状態が重要になります。
ケース③:会話はできるのに「法的には難しい」ことがある
世間話はできても、遺言のような「財産を誰にどう渡すか」という判断が必要な内容だと、遺言年齢や体調により慎重に見られます。
だからこそ、遺言は「早すぎる」ことがありません
ここでお伝えしたいのは、
「今すぐ遺言を書かなきゃ!」という話ではありません。
そうではなくて、
“作れるうちに、準備だけでもしておく”ことが大切
という話です。
遺言は、何度でも書き直せます。
完璧でなくてもいいです。
たとえば、最初の一歩はこれだけでも十分です。
- 自分の財産をざっくり整理する
- 誰に渡したいか、気持ちを整理する
- 争いになりそうなポイントを確認する
これだけでも、将来の負担が大きく減ります。
「遺言を作るか迷っている」あなたへ
ここまで読んで、こう思ったかもしれません。
- でも、うちは揉めないと思う
- まだそこまで考えなくても…
- 何から始めたらいいかわからない
- 相談したら、作るように勧められそうで不安
大丈夫です。
この不安は、みなさん同じように持っています。
特に最後の
「相談=依頼になってしまうのでは?」
という不安は強いですよね。
行政書士への相談は「依頼の決断」ではありません
行政書士に相談する目的は、まず
「今、遺言を作る必要があるか」
「作るなら、どんな方向性がいいか」
を整理すること
です。
- まだ作らなくていい、という結論になることもあります
- 家族と話し合う材料が欲しい、という相談でも構いません
- いきなり契約になることはありません
むしろ、迷っている段階ほど、相談の価値があります。
まとめ:遺言は「作れるうちに」がいちばんの安心です
最後に、今日のポイントをまとめます。
- 遺言には「判断能力」が必要
- 判断能力は突然下がることがある
- 「作ろうと思ったとき」に作れないケースがある
- 遺言は早すぎることはない(何度でも書き直せる)
- 迷っているなら、まずは整理するだけでも意味がある
もしあなたが今、
「作るべきか迷っている」
「今のうちに準備した方がいい気がする」
そう感じたなら、その感覚は正しいです。
不安を抱えたまま一人で悩むより、一度状況を整理して、選択肢を知ってから判断しませんか。
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