
ドローンを2台、3台と同時に飛ばしたいけど、事故が起きたらどうしよう…

そもそも複数台飛ばすのに許可やルールってあるの?

こうした不安を感じたことはありませんか?
2025年3月、国土交通省は「多数機(たすうき)同時運航」に関する新たなガイドラインを公表しました。
これは、複数のドローンを同時に飛ばす際に「どんなリスクに注意し、どうやって安全を確保するか」という考え方を示したものです。
今回はこのガイドラインを初心者の方にもわかりやすく、やさしく解説していきます。
「多数機同時飛行」ってなに?
「多数機同時飛行」とは、2機以上のドローンを同時に運航することをいいます。
たとえば、次のようなシーンが該当します。
- イベントやライブで、複数のドローンで撮影したい
- 建物や橋などの点検で、効率よく複数台で作業したい
- 広大な農地で農薬を一斉に散布したい
こうした場面では、作業効率が上がる反面、安全面の配慮がとても重要になります。
複数の機体が接近して飛ぶことで、衝突や通信障害のリスクも増えるため、計画と管理が欠かせません。
「無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン」ってどんな内容?
2025年3月に発表されたこの「無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン」では、「安全な多数機飛行のために必要な管理体制」がまとめられています。
ポイントをかみくだいて説明しますね。
【飛行する前に】リスクを見える化して、安全対策を立てる
同時に飛ばす台数、飛行エリアの環境、人や建物の有無、通信状況などによってリスクは大きく変わります。
たとえば…
- 人口の多いエリアで飛ばすか?
- 夜間や目視外の飛行を含むか?
- GPSや通信が安定しない場所か?
このような条件を整理し、どんなリスクがあるかを事前に評価しておくことが推奨されています。
【飛行中は】「運航管理者」が安全を見守る
多数機を同時に飛ばすときには、操縦者とは別に「運航管理者」を置くことが望ましいとされています。
この「運航管理者」は、全体の運航計画を把握し、機体の位置や通信状態をモニタリングしながら、必要に応じて指示を出す役割を担います。
つまり、チーム全体の安全を守る司令塔のような存在です。
【飛行後も】記録をしっかり残すことが大切
ガイドラインでは、飛行内容やトラブルの有無、通信状態などの記録を保存することが望ましいとされています。
これにより、後から何かあったときに原因を振り返ったり、次の飛行への改善点を見つけたりできます。
どんな準備をすればいいの?初心者が気をつけたいこと
「いきなり複数機は不安…」という方も多いと思います。
以下のような準備をおすすめします。
まずは小規模から練習する
いきなり大規模な同時飛行を行うのではなく、2機からスタートし、運用や連携に慣れていきましょう。
通信干渉を避けるための設定確認
使用する周波数帯が重なっていないか、またはWi-Fiなどの電波干渉が起きないかを事前にチェックしておくと安心です。
連携しやすいアプリやシステムを活用
複数機の飛行管理に役立つアプリも登場しています。
飛行ルートやバッテリー情報を一括で見られるツールはとても便利です。
許可や申請は必要?
多数機の飛行が「特定飛行(危険性が高いとされる飛行)」に該当する場合は、DIPS2.0での飛行許可・承認申請が必要になります。
たとえば以下のようなケースです。
- 夜間や目視外での同時飛行
- 空港周辺や人口集中地区(DID)での飛行
- 自動航行で複数台を同時に操作
また、業務で行う場合は、保険や安全マニュアルの整備も重要です。
安全が確保されていない状態で多数機を運用することは絶対に避けましょう。
よくある質問(FAQ)
- 自動航行で数台をプログラムで飛ばすのも対象?
- はい、自動航行でも同時運航のリスクは存在するため、ガイドラインの適用対象になります。
- ガイドラインに沿っていないと飛ばしてはいけませんか?
- 現時点では“努力義務”に近い内容ですが、事故が起きた場合の責任や信頼性を考えると、遵守が望ましいです。
- ホビーで2機を同時に飛ばすときもガイドラインは関係ありますか?
- 安全のために参考にすべき内容です。
事故防止のためにも活用をおすすめします。
まとめ:安全な運用が、ドローンの未来をつくる
複数のドローンを同時に飛ばせるようになると、業務の幅は広がります。
ですが、安全な運用体制がなければ、事故や信頼低下に直結します。
今回のガイドラインは、複数台運用を「やってはいけない」と制限するものではなく、「どうすれば安全に飛ばせるか」という道しるべです。
初心者の方も、まずはこの考え方に触れて、小規模な練習からはじめてみましょう。
そして、必要に応じて運航管理のサポートや、行政書士など専門家への相談もご検討ください。
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