ドローン測量の精度と実施の流れ|国土地理院登録制度も徹底解説【行政書士が解説】

キリヒラク
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こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。

リク
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ドローン測量に興味はあるけど、精度や許可申請が不安…

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そんな企業様に向けて、この記事ではドローン測量の精度・実施フロー・国土地理院の登録制度(公共測量の壁)まで、行政書士目線でわかりやすく解説します。

ドローン測量とは、ドローンに搭載したカメラやレーザーを用いて地形や構造物の位置・形状をデジタルデータとして取得する技術です。

一般的な精度目安

測量手法精度(標準偏差)
写真測量数cm〜10cm程度(撮影条件による)
レーザー測量1cm〜3cm程度(条件が悪くても高精度)

GNSS精密測位や地上基準点の設定により、誤差1〜2cmまで追い込むことも可能です。

ドローン測量で「できること」と「できないこと」

ドローン測量でできること

  • 工事現場の進捗管理(出来高管理)
    オルソ画像(真上からの正確な写真)を重ね合わせることで、工事の進行状況や作業の出来高を視覚的に管理。
    例:掘削エリアがどこまで進んでいるか、盛土量が計画通りか。
  • 土量計算(切土・盛土量の算出)
    ドローンで取得した3D地形データ(点群データ)を使い、正確な土量計算が可能。「before/after」の2回飛行で差分計測ができる。
  • 災害現場の早期調査
    土砂崩れ・河川氾濫後の現場確認を、危険を伴わず迅速に実施。
    例:崩壊範囲・堆積物の分布状況を即日データ化。
  • 地形モデルの作成(3Dモデリング)
    写真測量 or LiDARで得たデータから、3D地形モデルを作成し、工事計画や設計に活用。
  • 公共測量(条件付き)
    国土地理院登録業者 or 登録業者の指導監督下であれば、公共測量成果として提出可能。

ドローン測量でできないこと

  • 地下構造物の測量
    ドローンは地表面のデータ取得に特化しているため、地中埋設物(配管・基礎構造物など)は測量不可。
    地中レーダーやボーリング調査が必要。
  • トンネル内部やGPSが届かない場所
    トンネル内、密閉空間、地下空間ではGPSが取得できず、自律飛行や正確な測量が困難。
    屋内SLAM技術など特殊な設備が必要。
  • ミリ単位の精密計測
    工場設備や精密金型のような「ミクロンレベル」の精度が求められる測定は非対応。
    三次元測定機や接触式測定器が必要。

測量方式の違い|写真測量とレーザー測量

写真測量(SfM方式)

特徴内容
仕組みドローンで斜め・真上から写真を多数撮影し、画像解析ソフトで3Dモデルを再構築(SfM技術)
メリット機材コストが安い(市販ドローンで対応可)、広範囲を一度に撮影
デメリット草木・反射・影などでデータ精度が落ちやすい、地形が複雑だと誤差が出やすい
精度GNSS基準点を設置すれば数cm〜10cm精度は実現可能
おすすめシーン
  • 工事進捗の管理(上空からの俯瞰写真で十分)
  • 比較的フラットな土地の土量測定

レーザー測量(LiDAR方式)

特徴内容
仕組みドローンからレーザー光を照射し、対象物に当たって跳ね返る時間差を計測して距離を測る
メリット樹木の下の地面形状(地表面)も取得可能、複雑な地形でも高精度
デメリット機材・ソフト・解析コストが高額(数百万〜)
精度GNSS補正すれば1cm〜3cmの精度が実現
おすすめシーン
  • 森林伐採地、崩落現場の地表面形状取得
  • 急峻地形、複雑地形での高精度測量

ドローン測量の実施フロー

測量計画立案
  • 測量範囲(座標系・面積)と必要精度(cm単位 or m単位)を決定。
  • 測量方式(SfM or LiDAR)とドローン機材選定。
  • 必要な基準点(GCP)の数・位置を計画。
許可申請・管理者調整
  • DIPS飛行許可申請(DID・目視外・物件接近など)
  • 地権者・道路管理者・河川管理者などへの飛行許可取得。
  • 公共測量なら国土地理院との事前協議。
基準点(GCP)設置・GNSS観測
  • 地面に基準点マーカーを設置し、精密GNSS機器で座標取得。
  • これにより測量精度が大幅に向上。
ドローン飛行・データ取得
  • 天候・風速を確認し安全な条件下で飛行実施。
  • 写真測量なら80%以上のオーバーラップで撮影。
  • LiDARなら適切なスキャン速度・密度を設定。
データ処理・解析
  • SfMソフト(Pix4D、Metashape等)やLiDAR点群処理ソフトで解析。
  • 地形モデル(DEM)、オルソモザイク画像作成。
  • 土量計算・断面図作成も可能。
成果品作成・納品
  • 図面データ(DXF, SHP)、3D点群(LAS)、オルソ画像(GeoTIFF)
  • 成果報告書(工事進捗報告・土量レポート等)

測量に必要な許可・申請とは?

許可・申請名どんな時に必要か申請先
航空法上の飛行許可人口集中地区、目視外飛行、物件接近時国土交通省(DIPS)
地権者・管理者の許可私有地・公共施設内飛行時土地所有者・管理者
警察署への道路使用許可道路上空飛行や占用時管轄警察署
国土地理院への事前届出公共測量として成果使用する場合国土地理院

測量が「自社用資料」なら国土地理院の届出は不要ですが、公共測量として自治体に提出する場合は「国土地理院登録業者」である必要があります。

国土地理院登録制度とは?

登録制度の概要

  • 測量成果(図面・データ)を公共機関に提出する場合は、「測量法」に基づき国土地理院の登録が必要になります。
  • 登録には「測量業者登録(測量業者名簿登載)」が必要です。
  • 登録業者でない場合は「国土地理院長の承認」が必要です。(個別に承認手続きが発生)

登録の要件

要件内容
測量士または測量士補の配置国家資格者が責任者として必要
事務所の設置測量業務を行う拠点が必要
必要機材・体制の整備測量業務に適した機器・スタッフ体制

登録していない場合の対応

  • 「測量成果の承認申請(国土地理院長宛)」 が必要です。
  • 事前に仕様・計画を説明し、承認を得ることで成果品提出が可能です。

行政書士による測量許可サポート

ドローン測量は、実際に飛行するまでに「複数の許可・承認手続き」が必要です。
行政書士はこれらの手続きをワンストップで代行し、スムーズな業務進行をサポートします。

行政書士ができること

サポート内容詳細
飛行許可・承認申請(DIPS)DID区域、目視外飛行、夜間飛行、物件接近等の包括申請・個別申請の対応
地権者・管理者の許可取得河川、道路、森林など各管理者との調整、許可書面作成・取得
国土地理院への測量業者登録・承認申請測量法に基づく登録手続き、公共測量成果の承認申請(個別案件対応)
測量マニュアル・安全管理計画書の作成貴社専用の業務マニュアル、安全対策マニュアル、緊急時対応フローの作成
事故発生時の行政対応サポート報告義務・保険対応・行政提出用報告書の作成支援

行政書士に依頼するメリット

  • 飛行許可・測量手続きの抜け漏れ防止
  • 許可が下りるまでの期間短縮(ノウハウによる効率化)
  • 管理者・自治体との交渉窓口として機能
  • 測量業者登録や公共測量への展開時もスムーズに対応

まとめ

ドローン測量は「簡単に見えて実は専門的」な分野です。

精度や安全対策を怠ると、測量成果として認められなかったり、事故時の責任問題にもなりかねません。

まずは「どこまでの精度が必要なのか」「どんな申請・許可が必要か」を行政書士に相談し、しっかりとした体制を整えることが、成功のカギです。

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