
こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。
今回は、トラブル予防にとっても役立つ「契約書」と「覚書」の違いや作り方、注意点について、初心者の方にもわかりやすく解説していきますね。
契約書と覚書の違いは?
まず、よく聞かれるのが「契約書と覚書って何が違うんですか?」というご質問。
契約書
契約書は、当事者間で取り決めた内容を記載し、署名や押印をしてお互いにその内容を守ると約束する正式な書類。
売買契約や賃貸借契約、業務委託契約など幅広く使われます。
法律上は口約束でも契約は成立しますが、後々のトラブル防止のため、必ず文書で残すのがおすすめです。
覚書とは?
一方、覚書は、契約の補足や追加事項、特別な条件などを記録するための書類。
既存の契約の内容を変更・確認する際や、軽微な取り決めをする場合に使われます。
契約書と同様に当事者の合意内容を書き記し、署名・押印します。
📖例:
- 契約書:「売買代金100万円、支払期限は5月末まで」
- 覚書:「支払期限を6月末まで延長する」
このように、目的やタイミングで使い分けるのがポイントです!
契約書・覚書を作成するメリット
「口約束だけでも大丈夫でしょ?」と思っていませんか?
でも、後から「言った・言わない」のトラブルは本当に多いんです。
契約書や覚書を作成しておくと、
- 合意内容を証拠として残せる
- 紛争時に有利に交渉できる
- 相手方も誠実に対応するようになる
など、安心して取引を進めることができます。
契約書・覚書の実例
契約書の実例10選
No. | 契約書の種類 | 利用する場面・ポイント |
---|---|---|
1 | 売買契約書 | 商品・不動産などの売買を行う際に、価格・支払方法・引渡し時期を明記 |
2 | 賃貸借契約書 | 不動産・機械・車両などの貸し借りをする場合に、期間・賃料・保証金などを記載 |
3 | 業務委託契約書 | 業務を外部に依頼する場合、作業範囲・報酬・納期を明記 |
4 | 請負契約書 | 工事やシステム開発など、完成を目的とする契約で、完成物・金額・期限を明記 |
5 | 雇用契約書 | 従業員を雇うときに、業務内容・労働時間・賃金・解雇条件などを記載 |
6 | 秘密保持契約書(NDA) | 取引前の情報漏洩防止に、秘密情報の定義・範囲・保持期間を記載 |
7 | 金銭消費貸借契約書 | お金の貸し借りをする場合、金額・利息・返済方法・期日・連帯保証の有無を明記 |
8 | フランチャイズ契約書 | 加盟店契約時に、使用料・ロイヤリティ・契約期間・解約条件を記載 |
9 | 使用貸借契約書 | 無償で物件などを貸し借りする際の条件・返還時期・損害賠償規定を記載 |
10 | 株式譲渡契約書 | 株式の売買や譲渡の際に、譲渡株式数・価格・譲渡日などを記載 |
覚書の実例10選
No. | 覚書の種類 | 利用する場面・ポイント |
---|---|---|
1 | 契約内容の変更に関する覚書 | 既存の契約内容を一部変更・修正する際に、変更箇所と新たな条件を記載 |
2 | 支払期日延長の覚書 | 支払期限を延ばす際、延長後の支払期日・利息の有無を明記 |
3 | 解約・解除の合意覚書 | 契約を両者合意で解約する際に、解約日・精算方法を記載 |
4 | 業務範囲追加の覚書 | 既存業務委託契約に新しい業務内容を追加する場合に、追加内容・報酬を記載 |
5 | トラブル解決に関する覚書 | 事故・損害賠償トラブル解決後の和解内容・支払方法・免責事項を記載 |
6 | 貸与物品返却に関する覚書 | 貸し出した物品の返却条件・期限・状態を記載 |
7 | 離婚に伴う養育費・慰謝料覚書 | 離婚後の子どもの養育費・慰謝料の金額・支払方法・期限を記載 |
8 | 名義変更の覚書 | 所有権の名義変更・手続きの条件・期限を記載 |
9 | 金銭貸借の分割返済覚書 | 借金の分割返済に変更する際の返済スケジュール・金額・方法を記載 |
10 | 相続に関する遺産分割覚書 | 相続人同士で遺産分けを取り決める場合に、各人の取得財産・承諾事項を記載 |
契約書・覚書の作成の基本手順【初心者向け解説】
みなさん、「契約書ってどうやって作ればいいの?」「覚書って何を書けばいいの?」と迷うこと、ありますよね。
ここでは、初めての方でも迷わず書けるように、基本の流れをステップごとにわかりやすく解説します!
まずは、**契約や約束をする人(=当事者)**の情報をきちんと書きましょう。
- 個人なら:氏名・住所・生年月日
- 法人なら:会社名・所在地・代表者の氏名・役職
👉 この情報があいまいだと、万一トラブルになったときに、誰と約束したのか証明できなくなります。
特に法人の場合は、代表取締役の名前と役職も必ず記載します。
次に、どんな約束なのかを具体的に文章にします。
例えば…
- 何を売るのか、借りるのか、頼むのか
- 金額はいくらか
- 支払方法、支払期日はどうするか
- 作業の納期、納品の方法
👉 曖昧な表現(例:「なるべく早く」「できるだけ」など)はNG。
数字や日付、方法は必ず具体的に記載しましょう。
約束をする以上、万が一のときのルールも決めておくのが大切です。
- 契約を解除したいときの条件
- 支払いが遅れたときの遅延損害金
- 約束を破ったときの違約金の金額
👉 これをきちんと決めておかないと、トラブルになったときに揉めてしまいます。
特に金額の部分は必ず明記しておきましょう。
契約した日付も非常に重要です。
トラブルが起こったとき、「いつから効力があるのか」が問題になるので、必ず年月日を記載します。
最後に、当事者の署名と印鑑を押します。
- 個人なら、署名+実印・認印(状況による)
- 法人なら、会社の角印+代表者の署名捺印
👉 署名・押印がないと、契約書の効力が不安定になることもあるので要注意。
必ず双方で確認し、1通ずつ保管しましょう。
作成した契約書や覚書は、当事者がそれぞれ1通ずつ保管するのが基本です。
コピーではなく原本を持っておくのが大事。
後々のトラブル防止に役立ちます。
ワンポイントアドバイス
- 雛形やテンプレートは便利ですが、そのまま使わず、自分の状況に合わせて必ず修正しましょう。
- 特殊な約束ごと(例:特別な支払方法・役務の提供条件など)がある場合は、行政書士に相談するのが安心。
- 曖昧な表現(「場合による」「原則として」など)は避ける
- 口頭で済ませた内容もすべて文書に盛り込む
- 契約の有効期間・解約方法・連絡先変更時の通知義務なども記載する
作成の基本手順まとめ
契約書・覚書の作り方の基本手順は、
- 当事者情報
- 契約内容・条件
- 解約・違約金の条件
- 日付
- 署名・押印
- 保管
この6ステップを守れば、万が一のトラブル時も安心して対応できます。
行政書士に依頼する流れとメリット

行政書士に依頼する場合の流れ
契約の目的、状況、希望条件などを丁寧に伺います。
法的に問題がないかチェックしながら、条項案を作成。
依頼者の希望を反映した正式書面を作成。
行政書士に依頼するメリット
- 法的な不備を防げる
- 抜け漏れなく安心な内容にできる
- トラブル回避のためのアドバイスがもらえる
- 相手との交渉に強くなる(第三者作成の文書は説得力大)
料金相場は20,000円〜50,000円程度。案件内容で前後します。
自分で作成する場合の注意点
- 雛形テンプレートを鵜呑みにしない
自分の状況に合っていないケースが多いので、必ず内容を確認し、修正すること。 - 契約相手と事前にしっかり条件をすり合わせる
後からの齟齬を防ぐため、必ず事前に話し合う。 - 曖昧な表現・抜けがちな条項に注意
特に「解除条件」「支払期限」「違約金条項」などは忘れやすいので要注意。
まとめ
以上、今回は「契約書・覚書の基礎知識と実務ポイント」でした。
もし「自分のケースでも相談できるかな?」と迷ったら、お気軽にご相談くださいね。あなたの状況に合わせて、最適な形をご提案します!
次回予告
次回は、「遺言書作成の実務とポイント」について詳しく解説します!
「家族トラブルを防ぐにはどうしたらいい?」
「自筆と公正証書、どっちがいいの?」
そんな疑問をわかりやすく解決していきますので、ぜひお楽しみに✨
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