ドローンの安全な運用を確保するため、日本では「型式認証」と「機体認証」という2つの主要な認証制度が設けられています。
これらの認証は、ドローンの設計や製造過程、そして個々の機体の安全性を確認するものであり、国民生活の安全と安心に直結しています。
型式認証と機体認証の概要
型式認証とは
型式認証は、ドローンの特定の「型式」に対して与えられる認証制度です。
これは主にメーカーが申請し、設計・製造過程・性能試験などをクリアした機体が認証されます。
型式認証を取得したドローンは、同じ型式で製造されたすべての機体が「基本的に安全である」とみなされ、個々の機体認証の手続きを簡略化できます。
これにより、メーカーにとっては大量生産しやすくなり、使用者にとっても信頼性の高い機体を利用できるメリットがあります。
機体認証とは
機体認証は、個々のドローンごとに取得する認証です。
型式認証を受けた機体であれば簡易な手続きで済みますが、型式認証を受けていない機体については、より詳細な検査が求められます。
機体認証の目的は、個別のドローンが適切に製造・整備され、安全に運用できることを確認することにあります。
所有者や使用者が申請し、国土交通省または登録検査機関が検査を行います。
型式認証と機体認証の違い
項目 | 型式認証 | 機体認証 |
---|---|---|
対象 | ドローンの特定の型式全体 | 個々のドローン機体 |
申請者 | 主にメーカー | ドローンの所有者または使用者 |
検査内容 | 設計、製造過程、性能試験など | 現状検査(型式認証取得機体の場合) |
検査機関 | 国土交通省または登録検査機関 | 国土交通省または登録検査機関 |
メリット | 同一型式の機体が個別の機体認証を省略可能 | 個別の機体の安全性を確認 |
型式認証と機体認証の手続きフローと費用
型式認証取得の手続きフロー
必要な書類や試験結果を準備
国土交通省または登録検査機関に申請
設計図面や製造プロセスの確認
飛行性能や安全性の試験を実施
すべての検査をクリアすると、型式認証が発行される
機体認証取得の手続きフロー
機体の情報や必要書類を準備
国土交通省または登録検査機関に申請
機体の外観や機能の検査
検査をクリアすると、機体認証が発行される
必要な費用(代表的な機関の例)
機関名 | 型式認証 | 機体認証 |
---|---|---|
国土交通省 | 約50万円~150万円 | 約3万円~10万円 |
JUIDA | 約80万円~200万円 | 約5万円~15万円 |
登録検査機関A | 約60万円~180万円 | ー |
登録検査機関B | ー | 約4万円~12万円 |
このように、検査機関により、金額に差がみれらることがわかります。
型式認証と機体認証が必要な理由と社会的背景
ドローンの普及に伴い、空の安全性確保が重要視されています。
型式認証と機体認証は、以下の理由から必要とされています。
- 安全性の確保
設計や製造過程、個々の機体の安全性を確認し、事故やトラブルを未然に防ぐ - 信頼性の向上
認証を取得したドローンは、ユーザーや社会からの信頼を得やすい - 法的遵守
適切な認証を受けることで、法令遵守となり、違法な運用を防ぐ
型式認証と機体認証のメリット・デメリット
メリット
- 事故リスクの低減
- 業務用ドローンの市場価値向上
- 法的な整備が進むことで社会の信頼が向上
デメリット
- 取得費用が高額
- 申請手続きが煩雑
- 新規参入者にとってハードルが高くなる
2025年現在の型式認証取得ドローン一覧
種別 | 機体名 | 認証取得日 | |
---|---|---|---|
第一種 | 株式会社ACSL | PF2-CAT3型 | 2023年3月13日 |
第一種 | 株式会社ACSL | PF4-CAT3型 | 申請中(2024年6月27日) |
第一種 | イームズロボティクス株式会社 | E600-100型 | 申請中(2023年5月25日) |
第二種 | イームズロボティクス株式会社 | E6150TC型 | 2024年4月5日 |
第一種 | 株式会社プロドローン | PD6B-CAT3型 | 申請中(2023年11月10日) |
第一種 | Wingcopter | Wingcopter198 | 申請中(2024年3月28日) |
第二種 | ソニーグループ株式会社 | Airpeak S1(ARS-S1) | 2023年12月22日 |
上記の型式認証は一例ですが、社会的な普及はまだまだこれからです。
最新の認証状況は、国土交通省の公式サイトをご確認ください。
型式認証と機体認証が普及した未来
では、ドローンの型式認証と機体認証が普及した未来は、以下のようなことが期待できます。
- 都市部でのドローン配送の実現
- 災害時の迅速な支援活動の展開
- 空の交通システムの整備が進み、安全な運用が可能に
- 新たなビジネスモデル(空撮、物流、警備)の発展
型式認証・機体認証における行政書士の役割
行政書士は、ドローンの型式認証や機体認証の申請手続きにおいて、以下のような役割を果たします。
- 申請書類の作成・提出
複雑な申請書類の作成や提出を代行し、申請者の負担を軽減 - 法令の確認・解釈
関連する法律を正確に把握し、適切な申請をサポート - 関係機関との調整
検査機関や行政機関との連絡・調整を円滑に進める
キリヒラク行政書士オフィスでは、ドローンの型式認証・機体認証の申請をサポートします。
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