
こんにちは!ドローン飛行ルール解説シリーズ第5回へようこそ。
今回は、ドローンで撮影した映像や写真に関わる「個人情報保護法」について解説します。

自分の楽しみのために飛ばして撮った映像だから、関係ないよね?

と思っていませんか?
実は、ちょっとした油断が個人情報の不適切な取扱いにつながり、思わぬトラブルを招くことも。
この記事でしっかり学んで、安全にドローンライフを楽しみましょう!
個人情報保護法とは?
まず、個人情報保護法(正式名称:個人情報の保護に関する法律)は、個人を特定できる情報の適切な取扱いを義務付ける法律です。
具体的には、
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- ナンバープレート
- 顔写真
など、「特定の個人を識別できるもの」が個人情報に該当します。
ドローンの撮影データにも、当然この法律が関わってきます。
ドローン撮影で問題になるポイント
- 映像・画像に他人の顔や自宅、ナンバープレートが写り込んだまま公開
- 映像データを許可なく保存・共有・販売
- SNSやYouTubeで、個人を特定できる情報を含む映像を公開
- 無許可で撮影したデータを商用利用
これらの行為は、相手の同意なく個人情報を取り扱う行為に該当し、トラブルの原因になります。
個人情報の取り扱いルール
撮影時に注意すること
- 住宅の表札、車のナンバープレート、顔が映る距離での撮影を避ける
- 避けられない場合は、事前に本人の同意を取る
- 不特定多数の人がいる場所では、極力顔が特定できないよう遠景・ぼかしを使う
撮影後にやるべきこと
- 映像データの確認
→ 他人の顔や情報が映っていないかチェック - 必要なら編集・加工
→ モザイク、ぼかし、切り取り - SNS・動画サイトへのアップロード前に再確認
実際のトラブル事例
例えばこんなケースがあります。
- 観光地の空撮動画をSNS投稿
→ 映り込んだ旅行客の顔がクローズアップされ、削除依頼 - 住宅街の景色を撮影
→ ナンバープレートがくっきり映ってしまい、所有者からクレーム - ドローンレース大会を撮影しYouTube投稿
→ 観客の顔が映り、後日プライバシー侵害の申し立て
こうした事例、実は少なくありません。
違反した場合のリスク
もし個人情報保護法に違反すると、以下のような問題が起こり得ます。
行政処分・指導
- 個人情報保護委員会からの指導・助言 → 違反が発覚すると、まずは改善を求める「指導」が行われます。
→ これを無視すると、企業・個人問わず「命令」が出されることも。 - 命令違反での罰則(刑事罰)
→ 命令に従わない場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
民事上の損害賠償請求
撮影データによってプライバシーを侵害されたとして、慰謝料の請求が発生することもあります。
例えば、
- ナンバープレートが映った動画をネットに投稿→所有者から削除依頼+慰謝料5万円の請求
- 個人の顔がくっきり映った映像をYouTubeに投稿→名誉毀損で20万円の損害賠償請求
名誉毀損罪・プライバシー侵害訴訟
悪意がなくても、個人の顔写真や住宅の外観を許可なく公開した場合、名誉毀損罪や民事訴訟の対象になるケースも。
安全に運用するためのコツ【実践編】
飛行・撮影前の確認
- 住宅密集地・観光地・イベント会場は特に注意
- 表札・ナンバー・顔が映る場所か確認
- 商業施設や学校周辺は基本NGエリアと認識
撮影時の注意
- ズーム機能は控える(顔が特定できやすくなるため)
- 真上・遠景からの撮影を基本
- 撮影中に人が来たら即停止、カメラの向きを変える
撮影後のチェックと編集
- 顔・表札・ナンバープレートが映っていないか確認
- もし映っていたら
→ モザイク・ぼかし・カット
→ どうしても削除できない場合は、本人の許可を取る
SNS・YouTube投稿前のチェック
- もう一度動画・画像を再確認
- 映り込みチェックリストを活用
(顔、ナンバープレート、住宅の表札、特定の施設の看板や住所、子ども・学生など)
商用利用する場合
- 必ず撮影・公開の同意書を取得
- 公共の場での撮影なら施設管理者の許可も確認
- プロの現場なら専門の行政書士や法律家へ事前相談
保険の加入も安心材料
もし万が一のトラブルに備え、賠償責任保険(対人・対物・プライバシー侵害対応型)に加入するのもおすすめ。
個人向けプランなら年間数千円程度から加入できます。
まとめ
ドローン撮影は自由度が高くて楽しい分、うっかり個人情報を含んでしまうリスクも大きいのが現実です。
事前確認と撮影後のチェック、そして公開前の確認。この3ステップを徹底するだけで、かなりのトラブルは防げます。
「どうすればいいか迷った」「これは公開しても大丈夫?」といった場面では、気軽に行政書士などの専門家へ相談してくださいね。
トラブルになる前の予防こそ、安心してドローンを楽しむ最大のコツです!
次回予告
次回第6回では、ドローンを飛ばすうえで必ず関わる「電波法と通信・機器規制」について解説します。
「技適マークってなに?」「5.8GHzのFPVゴーグルは使っていいの?」といった疑問にも答えますので、お楽しみに!
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