〜5.8GHz帯の使用条件・許可・資格・違反リスクまで完全網羅〜

こんにちは、キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。
今回もドローン×法律シリーズをご覧いただきありがとうございます!
さて、今回は意外と見落とされがちな「電波法」とドローンの関係について、初心者の方にもわかりやすく、一つひとつ丁寧に解説していきます。

ドローン飛ばすのに電波の許可っているの?

海外製ドローン買ったけど、このまま使って大丈夫かな?

こんなお悩みを持っている方、多いんです。
特に5.8GHz帯の使用条件や許可の取り方、必要な資格、違反したときの罰則など、かなり実務的で大切なポイントも深掘りしていきますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
ドローンと電波法の関係って?
電波法は、無線機器の使用を適正に管理して、他の通信への妨害を防ぐ法律です。
例えば、家庭用Wi-Fiルーターやスマホも電波法の管理下なんです。
まず前提として、ドローンの操縦や映像伝送には「無線通信」が欠かせません。
コントローラーと機体、FPVゴーグルとドローン、送信機とスマホアプリ…いずれも電波を利用しています。
日本国内では、その電波の使用を「電波法」で厳しく管理しています。
電波は目に見えない資源なので、無秩序に使うと、他の機器や重要通信(救急・消防・飛行機など)に悪影響を与えるおそれがあるため、法で細かくルールが決められているんです。
ドローンで使われる主な周波数帯
2.4GHz帯
ドローン操縦で最も一般的に使われる周波数帯。
日本の電波法で屋内・屋外問わず技適マーク付きの機器なら利用OKとされています。
特徴:
- 操縦・映像伝送など幅広く使える
- 通信距離も長め
- Wi-FiやBluetoothでも使われているので、干渉の可能性もある
注意点:
必ず「技適マーク」のある機器を使うこと
正式名称は「技術基準適合証明」。
このマークが付いている機器は、日本の電波法の基準をクリアしている証明です。
技適マークがないと、違法無線局の開設とみなされ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になることも。
特に海外製ドローンには注意!
海外の通販サイトで購入したドローンや送信機は、技適マークがないものも多いんです。知らずに飛ばすと違法になるので要注意!
5.8GHz帯
FPV(First Person View)飛行や、リアルタイム映像伝送に多く利用される周波数帯。
海外製ドローンやレース用機体でよく採用されていますが、日本ではこの5.8GHz帯の取り扱いが非常に厳格です。
特徴:
- 映像の遅延が少なく、高画質でリアルタイム伝送が可能
- 通信距離も長め
- 電波の直進性が高く、障害物には弱い
注意点:
- 屋外で使うには必ず「無線局の開設許可」が必要
- 開設には「無線従事者資格」も必要
5.8GHz帯の使用条件をさらに詳しく
5.8GHz帯は、総務省が無線設備規則で定める「電波の使用許可対象」に該当します。
つまり、自由に使える電波ではありません。
使用できる条件
- 屋内利用のみなら無許可でもOK(ただし、電波漏洩に注意)
- 屋外での使用には「無線局開設許可」と「無線従事者資格」が必須
無線局開設の具体的な手続きと資格要件
無線局開設に必要なもの
- 無線従事者資格(第四級アマチュア無線技士以上)
- 使用機器の詳細(周波数・出力・型式)
- 開設場所・運用目的
- 総務省への開設申請(電波利用電子申請システムで提出)
- 技術基準適合証明(技適)もしくは特別認定機器の確認
必要資格の詳細
- 第四級アマチュア無線技士以上 → 国家資格。
→ 試験は全国で年数回開催。合格率は高めで、講習会もあり初心者でも取得しやすい。
例えばFPVレースを屋外で行いたい場合
→ 無線従事者資格を取得し、許可を取ってから運用しないと違法です。
無線局開設手続きの流れ
これで初めて、合法的に5.8GHz帯を屋外で運用できます。
違反した場合の罰則
違反内容 | 罰則 |
---|---|
無許可で5.8GHz帯を屋外使用 | 5年以下の懲役または250万円以下の罰金 |
技適未取得機器の使用 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
総務省の許可を受けずに無線局開設 | 同上 |
知らなかった、では済まない厳しい内容です。
安全に運用するためのポイントまとめ
①ドローン購入前に機器の仕様と技適マークを必ず確認
まず、ドローンに技適マークが付いているかどうかをチェックしましょう。
これは、日本国内で特定無線機器を使用する場合の基本中の基本。2.4GHz帯であっても必須です。
5.8GHz帯の場合、屋内専用機器にも注意
→ 海外通販やフリマサイトでは、屋外利用不可のものや技適マークのない機器が販売されているケースが多いです。
購入前に、必ず周波数帯・技適有無・用途(屋内専用/屋外可)を確認しましょう。
②FPVや5.8GHz帯の屋外使用なら必ず「無線局開設」と「資格取得」
5.8GHz帯の屋外使用は無線局の開設許可が必要です。
このとき、無線局の開設には「第四級アマチュア無線技士以上」の資格が必須。
資格がなければ無線局の開設申請はできません。「技適だからOK」と誤解する方も多いですが、5.8GHz帯の屋外利用では別物です。
③屋内利用でも要注意!電波漏洩のリスク管理
5.8GHz帯は直進性が強く、壁を通り抜けることもあります。
そのため、屋内利用でも建物の構造や電波漏洩の有無に注意が必要。
もし屋内から屋外に漏洩し、公共の通信環境に干渉した場合、電波法違反に問われる可能性もあります。
安全対策の例
- 電波漏洩を防ぐためのシールドルームの利用
- 通信強度の抑制(出力調整機能の利用)
- 厚みのあるコンクリート壁の施設を選ぶ
④ドローン運用時の記録管理を徹底する
安全運用と法令遵守のため、運用記録を残しておくことも大切です。
もし何かトラブルがあった際も、記録があれば責任の所在が明確になりますし、総務省や警察の確認を求められた際にも安心です。
📌 記録例
- 運用日時・場所・周波数帯
- 使用したドローン・送信機・FPVゴーグルの型番・技適番号
- 無線局免許の番号・有効期限
- 無線従事者資格証の番号
⑤迷ったとき・不安なときは必ず専門家に相談
特に初心者の方は、制度の誤解や手続き漏れが起こりやすい部分です。
不安な場合は、行政書士(無線局開設申請の代理可能)や無線専門家に早めに相談するのがおすすめです。
まとめ
今回は、ドローンの通信機器利用に関わる電波法と周波数帯、特に5.8GHz帯の取り扱いと開設手続き、必要な資格、違反リスクまで、できる限り詳しく解説しました。
FPV飛行や映像伝送に興味のある方、海外製ドローンの使用を考えている方は特に注意が必要な内容です。
知らずに使って違反した結果、罰則を受ける…そんな事態は絶対避けたいですよね。
ぜひこの記事を参考に、事前確認と適切な手続きを行って、安全で楽しいドローン運用を心がけましょう!
ご質問や不安な点があれば、いつでもキリヒラク行政書士オフィスにご相談ください。
ドローンユーザーの味方として、全力でサポートいたします!
次回予告
第7回:「道路使用許可の手続きと注意点」
ドローンの離発着や操縦で「道路上」を利用する場合、道路交通法に基づく「道路使用許可」が必要になることがあります。
次回は、そのルールと手続き、注意点を初心者にもわかりやすく解説します!
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