
こんにちは!キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。
今回もドローンの法律シリーズ、第10回目をお届けします。
ドローンで撮影した映像や写真、とっても魅力的ですよね。
でも、SNSに投稿したりイベントで飛ばすとき、著作権や肖像権の問題が思わぬトラブルになることも。
そこで今回は「ドローンと著作権・肖像権」について、初心者の方でもわかるように丁寧に解説します。
撮影前の確認ポイント、許可の取り方、万が一のトラブル対応までしっかり押さえましょう。
ドローン撮影と著作権の基本ルール
まずは著作権の基本を確認しましょう。
著作権は、著作物を創作した人に自動的に発生する権利です。
ドローンで撮影したときに注意したい著作物の例
- 有名建築物
- 屋外アート作品
- 商業施設の外観デザイン
- イベントの演出・照明
これらは著作権の対象となる場合があり、商業目的での利用や無断公開は著作権法違反となる可能性があります。
商用サイトやYouTube動画のサムネイルに無断で利用した場合も同様。
SNSへの投稿も、営利目的なら注意が必要です。
ドローン撮影と肖像権の基本ルール
肖像権は、他人に無断で顔や姿を撮影・公表されない権利のこと。
ドローン撮影は高所から広範囲を撮るので、意図せず人が映り込むリスクが高いです。
肖像権のトラブル事例
- 公園でドローンを飛ばして撮影→子供の顔が映り込んで保護者からクレーム
- イベント空撮→観客の顔が特定できる映像をSNS投稿しトラブル
安全・安心な運用方法
ドローン撮影時に肖像権・著作権・プライバシー問題を避け、安全・安心に運用するための具体策をまとめます。
撮影エリア・時間の選定
- 人が集まらない時間帯や場所を選ぶ(早朝・閉園間際・イベント前後)
- ドローン立入禁止エリアや条例の確認
- 飛行計画は事前に関係者・自治体に提出
現地掲示とアナウンスの実施
- 「ドローン撮影中」案内板の設置
- イベント会場ならMCアナウンスで事前告知
- 撮影範囲と撮影目的も明記するのが理想
同意書の取得
- 出演者・スタッフ・イベント来場者から肖像権同意書を取得
- 書面または電子同意フォーム(QRコード案内)も有効
- 一般来場者向けは掲示と口頭告知の併用がベター
データ管理の徹底
- 映り込みデータはモザイク処理やカット編集
- 個人を特定できる映像は公開しない、または事前同意を得る
- 保存データにも適切なパスワード管理
保険加入・万一の備え
- 第三者賠償保険・個人賠償責任保険の加入は必須
- トラブル時の対応窓口(行政書士・弁護士)を決めておく
イベント撮影・SNS投稿時の許可・手続き

イベント主催者の承諾取得
【概要】
ドローン撮影を行う場合、まずイベント主催者の事前承諾を必ず得る必要があります。
特にイベントエリア内での上空撮影は、主催者の判断で全面禁止にしているケースも多いです。
【手続きの流れ】
- 飛行計画書の提出
- 飛行日時
- 飛行ルート・高度
- 使用機種
- 撮影目的・公開予定先
を明記した計画書を作成し提出。
- 承諾書・同意書を文書化
- 書面またはPDF形式で撮影許可・映像使用許可を取り付ける。
【注意点】
特に営利目的の映像利用(YouTube収益化・広告動画等)は別途商用許諾が求められるケースも
イベントによっては、スポンサーや共催者にも確認が必要な場合あり
撮影範囲・時間帯の承認
【概要】
安全確保とトラブル防止のため、撮影可能なエリア・時間を事前に主催者と確認し、会場図面で共有するのが原則。
【手続きの流れ】
- 会場平面図に飛行ルート・ホバリング位置・安全距離エリアを記入
- 飛行時間帯の指定(例:開場前・イベント開始前・観客入場前後)
- 主催者、警備責任者、音響・照明スタッフとも共有し、承認印をもらう
【注意点】
ホバリング位置と観客導線が重ならないよう調整
イベント中の飛行は原則禁止、もしくは特定セレモニー時のみ許可とするケースが多い
肖像権同意書の取得
【概要】
映像内に映り込むスタッフ・出演者・来場者の肖像権に配慮し、事前に同意取得を行うのが原則。
【実務方法】
- 出演者・スタッフ
- 書面同意書(出演契約書内に盛り込む場合も)
- 一般来場者
- 入場口・撮影エリア付近に「ドローン撮影中・映り込みの可能性あり」の掲示
- イベント規約・参加要項にも記載
- 希望者には「映り込みNGシール」配布などの配慮も有効
【注意点】
- SNS用映像でも映り込みNG者がいた場合、必ず編集でぼかし・カット
- 親権者同意の必要な未成年者への配慮も忘れずに
撮影データの取扱いルール確認
【概要】
撮影した映像・画像データの保存・公開・第三者提供について、イベント側の運用ルールを確認する。
【具体手順】
- データ管理規程・SNS投稿ポリシーの有無を確認
- SNSへの投稿可否、商用利用の可否、編集範囲の確認
- NG事項(例:スポンサー広告映り込みNG、観客の顔アップ禁止)
【注意点】
- データ提供先を記録し、無断転用・再配布を防止
- ドローン映像が意図せず事故映像などを記録した場合の取扱いも主催者と取り決め
地元警察・自治体への事前相談
【概要】
イベント会場の所在地によっては、道路交通法・航空法・条例による飛行制限があるため、事前に警察・自治体へ相談。
【手続き例】
- 道路使用許可申請
公道上空での撮影・離発着がある場合 - 占用許可申請
公園・広場などの自治体管理地での撮影時 - 航空法の許可・承認
DIPS2.0で国交省への飛行許可承認申請(夜間・イベント上空・目視外等) - 地元条例の確認
ドローン禁止区域・飛行ルール(例:大阪城公園内全面禁止)
【注意点】
- 申請には1週間~10日程度の余裕を見て計画
- 許可取得後、主催者にも許可証コピーを提出・掲示して共有
トラブルを未然に防ぐコツ
撮影前の事前説明を徹底
- 「本日空撮を行います」
- 「撮影した映像は○○に使用します」
これを現地アナウンスや案内掲示でしっかり行うと、トラブルの種を減らせます。
SNS投稿の際の注意
ドローン映像をSNSに投稿する際も以下を守るとトラブル回避に繋がります。
- 映り込み人物の確認と加工
→ 顔・表情が判別できる場合は必ずぼかし・モザイク処理
→ 公道や公園で撮った場合も同様 - 建物・著作物の権利確認
→ 有名建築物・看板・アート作品は商用利用不可のケースあり
→ 著作権管理者(管理団体・自治体)に事前確認・許可取得を行う - 商用利用と私的利用の線引き
→ 営利目的(広告・PR動画・収益動画)は事前許可が必要
→ 私的利用(記念撮影・SNSの個人投稿)でも配慮が必要 - 地域条例の確認
→ SNSに投稿した映像で条例違反が発覚する例もある
→ ドローンの飛行・撮影が条例で禁止されていないか確認 - クレジット表記・説明の添付
→ 必要に応じて**「撮影許可取得済」「肖像権同意取得済」の記載**
→ 撮影場所・撮影日を明記することで誤解・クレーム防止
万が一のクレーム対応
もしトラブルが起きた場合も、迅速・誠実に対応することが信頼回復のカギ。
- 即時の該当データ削除・非公開
→ SNS投稿の削除
→ サーバー保存データの隔離・削除 - 丁寧なお詫びと説明
→ 相手に対し直接丁寧に謝罪
→ 事情を説明し、今後の対応も約束 - 対応記録の作成
→ 発生日時・相手の主張・自社の対応内容を記録
→ 再発防止の社内共有用にも残しておく - 必要なら法的相談
→ トラブルの規模・内容によっては行政書士・弁護士への相談
→ 賠償問題・示談交渉などの法的対応も視野に入れる - 次回撮影への改善策検討
→ 事前掲示の追加
→ 撮影範囲の制限
→ 同意取得方法の見直し
→社内マニュアルも随時更新する
まとめ
ドローン撮影には航空法・小型無人機等飛行禁止法だけでなく、著作権・肖像権にも注意が必要です。
特にイベントやSNS投稿のときは、必ず撮影許可と肖像権の確認を行うこと。
同意書や案内掲示、撮影後の画像加工も活用して、安全・安心なドローン運用を心がけましょう。
次回予告
ドローン法律シリーズも今回で完結!
今後は「ドローン飛行時の注意点完全ガイド」など、さらに実務寄りのブログを発信予定です!
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