近年、ドローンの活用が急速に広がり、個人や企業を問わずさまざまな分野で活用されています。
しかし、ドローンの飛行には法的な規制があり、特に「飛行レベル」に応じた許可・承認が必要になる場合があります。
本記事では、「飛行レベル」とは何か、どのような基準で分けられているのか、また、それぞれのレベルで必要となる手続きを行政書士の視点から詳しく解説します。
ドローンの飛行レベルとは?
飛行レベルとは、ドローンの運航リスクに応じて分類される飛行区分のことで、国土交通省が定めたガイドラインに基づいています。ドローンの飛行は以下の4つのレベルに分類されます。
レベル1:目視内での手動操縦
以下の場所では、原則としてドローンの飛行が禁止されています。
- 操縦者が目視の範囲内でドローンを飛行させる。
- 一般的なホビー用途や業務用途の基礎となる飛行レベル。
- 航空法に基づく「DID地区(人口集中地区)」での飛行や、特定飛行に該当しない限り特別な許可は不要。
レベル2:目視内での自動・自律飛行
- プログラムされた飛行経路に沿って、ドローンが自律的に飛行。
- 農業や測量業務での活用が多い。
- 人や建物に接近する場合は、航空法の規制対象となり、許可・承認が必要になるケースあり。
レベル3:無人地帯での目視外飛行(補助者あり)
- 操縦者が目視できない範囲でドローンを飛行させる。
- ただし、補助者がドローンの飛行状態を監視することが条件。
- 遠隔地でのインフラ点検や物流用途などで利用される。
- 国土交通省の許可・承認が必要。
レベル3.5:無人地帯での目視外飛行(補助者なし)
- 2023年に導入された中間レベルの飛行区分。
- レベル4と異なり、飛行場所は無人地帯に限られる。
- 物流や農業分野での活用が想定されており、より柔軟な運用が可能。
- レベル4に比べて取得要件が緩和されているが、操縦者の二等以上のライセンス取得および許可・承認は必要。
レベル4:有人地帯での目視外飛行(補助者なし)
- 2022年12月の航空法改正により、日本で初めて補助者なしの目視外飛行(レベル4)が可能となりました。
- 市街地や人が多くいる場所で、補助者なしで目視外飛行を行う。
- 物流ドローンや都市部での運用が想定される。
- 航空法に基づく特別な許可が必要で、機体認証や操縦者の一等ライセンス取得が必須。
レベル4導入の社会的背景とメリット
(1)レベル4導入の背景
- 物流業界の人手不足に対応するため、新たな輸送手段としてドローン活用が求められていた。
- 災害時の緊急物資輸送や医薬品配送の効率化が必要とされていた。
- 都市部でのラストワンマイル配送(消費者の自宅までの配達)のニーズが高まっていた。
- これらの課題を解決するために、2022年12月にレベル4が導入された。
(2)レベル4のメリット
- 人手不足の解消:自動飛行技術の発展により、物流業務の効率化が期待される。
- 迅速な緊急対応:災害時に必要な物資を遠隔地へ即時輸送できる。
- 都市部での新たな配送手段の確立:交通渋滞を回避し、迅速な配送が可能。
(3)今後の利活用の展望
- 物流業界の変革:大手物流企業がレベル4ドローンの活用を進め、無人配送ネットワークの構築を目指している。
- インフラ点検の効率化:橋梁や高層ビルの点検に活用し、作業の安全性と効率を向上させる。
- 医療分野での活用:離島や山間部へ医薬品や臓器を迅速に配送するための技術開発が進行中。
レベル3.5導入の背景とメリット
(1)レベル3.5導入の背景
- 現在のレベル3飛行では、補助者を配置したり、看板の設置や道路横断時の一時停止などの立入管理措置が必要。
- 事業者から「補助者を減らしたい」「立入管理措置の負担を軽減したい」という要望が多く寄せられた。
- こうした声を受け、2023年にレベル3.5が導入され、補助者なしでの目視外飛行が無人地帯で可能になった。
(2)レベル3とレベル3.5の違い
項目 | レベル3 | レベル3.5 |
---|---|---|
飛行場所 | 無人地帯 | 無人地帯 |
目視外飛行 | 可能 | 可能 |
補助者の配置 | 必要 | 不要 |
立入管理措置 | 必要 | 一部緩和 |
許可・承認 | 必要 | 必要 |
(3)レベル3.5導入のメリット
- 運用の自由度が向上:補助者不要のため、少人数での運用が可能。
- コスト削減:補助者や立入管理措置の負担が軽減され、運用コストを抑えられる。
- 物流・農業分野の発展:広大な無人地帯でのドローン活用が加速し、産業の発展に貢献。
飛行レベルごとの法的要件と許可申請
(1)航空法に基づく規制
飛行レベル | 許可・承認の必要性 | 主な規制 |
---|---|---|
レベル1 | 不要(条件あり) | 人口集中地区、夜間飛行、30m未満接近は禁止 |
レベル2 | 一部必要 | 自動飛行でも安全対策が必要 |
レベル3 | 必要 | 無人地帯での目視外飛行には特別な許可が必要 |
レベル3.5 | 必要 | 二等以上の無人航空機操縦者技能証明(国家資格)を保有している。 無人地帯での補助者なし飛行には許可が必要 |
レベル4 | 必要(厳格) | 機体認証、一等無人航空機操縦者技能証明(国家資格)を保有している。 |
(2)許可申請の流れ
飛行レベル3・3.5・4に該当する場合、国土交通省の「DIPS(ドローン情報基盤システム)」を利用してオンラインで申請を行います。
まとめ
ドローンの飛行には、リスクレベルに応じた「飛行レベル」が設定されており、一定の飛行には国土交通省の許可・承認が必要です。
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