建設現場の空撮活用|工事進捗管理と許可の取り方【行政書士が完全解説】

キリヒラク
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こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。

建設現場の工事進捗管理や竣工写真の撮影に、ドローン空撮を導入する企業が増えています。

リク
リク

導入するとどんな効果がある?

アイミ
アイミ

飛ばすには許可が必要?

どんな準備や安全対策をすればいいの?

キリヒラク
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そんな疑問をお持ちではないでしょうか?

この記事では、行政書士でありドローンパイロットとして現場サポート経験も豊富な筆者が、建設現場でのドローン活用の実務と許可の取り方を初心者の方にもわかりやすく解説します。

はじめて導入を検討する方ほど「本当に必要なの?」と感じるかもしれません。
しかし、空撮の効果は非常に大きいのです。

(1) コスト削減

  • 高所からの撮影に必要だった足場・クレーン・点検車の手配を減らせます。
  • 担当者が昇降する手間・時間も削減。

(2) 品質の均一化

  • 同一高度・同一アングルの定点撮影が可能。
  • 月次報告や竣工検査で比較しやすい記録が残せます。

(3) 安全性の向上

  • 危険箇所に作業員を近づける必要がなくなり、墜落・転落リスクを低減できます。

工事進捗管理で撮るべきカットと撮影頻度

工事の進捗管理で重要なのは、定点・定高度・同ルートです。

これを守るだけで、報告資料の見栄えが格段に良くなります。

撮影の基本

  • 静止画:真上(オルソ)+対角45°+四隅からの全景
  • 動画:現場全体をぐるりと回るサークル・ヘリカル飛行
  • 頻度の目安
    → 基礎〜上棟期:週1回
    → 内装期:月2〜4回

ドローン空撮導入の流れ(社内稟議〜標準化)

目的・課題の明確化(要件定義)

まず、「なぜドローンを導入するのか?」という導入目的と対象業務をはっきりさせます。
よくある目的:

  • 月次進捗写真の標準化
  • 工程遅延の早期把握
  • 足場削減によるコストダウン
  • 危険作業の無人化(例:高所、狭隘部)

ポイント:

  • 「費用対効果」より先に「業務上の困りごと」を明示すると、現場と経営層の共感を得やすい。
  • 比較画像(現場写真のビフォーアフター)などがあると説得力がUP。
試験導入(PoC:概念実証)

いきなり本格導入ではなく、小規模な現場で試験的に3〜4回実施します。

やること:

  • 現場1〜2件を選び、ドローン業者 or 内製チームで月次撮影
  • 「定点・定高度・撮影アングル」を固定し、画像比較できる形に
  • 撮影計画書、安全管理マニュアルのたたき台も作成

評価ポイント:

  • 写真の品質・安定性
  • 撮影・データ共有のスピード
  • 現場・発注者の反応
  • 危険作業代替になっているか
社内稟議・承認フロー

実証結果をもとに、正式導入のための社内稟議書を作成します。
稟議書に盛り込むべき内容:

  • 導入の背景(現場課題とその影響)
  • 検証結果(コスト削減率、品質の向上、現場負担軽減)
  • 初期費用・年間運用費用の見積り
  • リスク対応(事故時、苦情時のフロー)
  • 外注/内製の比較・選択理由
  • 担当部署・責任者・運用ルール案

注意点:

  • 安全部門・法務部門の承認が必要になる場合が多いため、早期に意見を取り入れる。
  • 「建設業の無人化・DX推進の一環」として位置付けると、経営層の理解を得やすい。
撮影ルール・安全マニュアルの作成(標準化)

導入が決まったら、現場が迷わず安全に使えるルール作りが不可欠です。
作成するべき主なドキュメント:

  • 撮影計画書(テンプレ)
  • 操縦者チェックリスト
  • 当日安全確認表(天候、電波、通報連絡)
  • 近隣説明の掲示テンプレ
  • 賠償保険の管理台帳
  • 機体管理簿・整備記録

ルール例:

  • 「飛行は原則、風速5m/s以下・晴天時」
  • 「操縦者は国交省許可所持者+補助者1名以上」
  • 「撮影前後の写真はクラウド保存」など
教育・運用スタート

安全管理・操縦・データ管理を含めて社内教育を実施し、本運用に移行します。
実施内容例:

  • 操縦体験会(シミュレーター+実機)
  • 動画マニュアル・社内イントラでの周知
  • 月1回の運用レビュー(改善点の収集)

運用チームの設置

  • 小〜中規模企業なら「現場担当+安全担当+ドローン係」の3名体制が理想。
  • 最初は外注と併用しつつ、徐々に内製化を目指す。

導入を成功させるコツ

ポイント理由
「いきなり全現場」でなく、小さく始める失敗リスク・社内抵抗を抑えられる
稟議資料は「現場写真付き」が強い百聞は一見に如かず。説得力が格段にUP
安全管理の書式を揃える労災やトラブル時の説明責任が果たせる
行政書士の関与を明記する許可取得の正当性とリスク回避策を提示できる

許可が必要かどうかの判断ポイント

「建設現場なら勝手に飛ばせるのでは?」と考える方も多いですが、条件によっては許可・承認が必要です

許可が必要になりやすいケース

  • 都市部や人口集中地区での飛行
  • 第三者や道路・隣地上空を通過する飛行
  • 夜間飛行目視外飛行
  • 建物・クレーンなどに近接する飛行
  • 大きな騒音・プライバシーリスクがある場合

現場での安全対策(KYTの導入)

  • クレーン・鉄骨・高圧線による電磁干渉
  • ビル風・突風による墜落リスク
  • GNSS電波が届かない場所でのフライト

上記のリスクを事前に把握し、KYT(危険予知活動)シートにドローン特有の項目を追加しておくことが大切です。

飛行前のブリーフィング→テストホバリング→本番飛行→デブリーフの流れを徹底しましょう。

内製と外注の比較

項目内製運用外注運用
メリット即応性・ノウハウ蓄積プロ品質・許可取得・安全体制も委託可能
デメリット機体・教育コスト、責任が自社発注単価が高め、継続コストがかかる

現場の規模や回数によっては、外注+内製のハイブリッド運用が最も効率的です。

よくあるトラブルと回避策

  • 近隣からのプライバシー苦情
    → 事前周知文を掲示・配布し、撮影時間帯やカメラ角度に配慮
  • 道路使用許可の失念
    → 工程会議で「道路・河川上空を通るか?」を必ず確認
  • データ紛失
    → 撮影直後に二重保存、クラウドアップロードを習慣化

まとめ:まずは小規模現場で試行運用を

建設現場でのドローン活用は、単に「新しい技術導入」ではなく、工事の見える化・安全性向上・品質管理の効率化に直結します。

ただし、導入には段階的な社内合意と、飛行場所や方法によっては許可や承認といった安全・法令遵守の両立を図るルール作りが欠かせません。

ドローン運用と行政手続きの両方に精通した行政書士なら、ドローン導入の「現場と経営の橋渡し役」として、行政書士としての立場から制度面・許可面のご相談に乗り、御社現場の条件に合わせて最適な運用方法をご提案します。

よくある質問(FAQ)

建設現場内なら許可不要では?
敷地内であっても、第三者上空や人口集中地区で飛ばす場合は許可が必要になることがあります。
許可は1回の撮影ごとに必要?
年間包括許可を取得できる場合もありますが、現場条件によっては都度の許可・承認を得る個別申請が必要です。
目視外飛行をしたいのですが可能?
十分な安全対策・補助者配置・飛行ルート管理を条件に許可が出るケースがあります。

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