
こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。

遺言書を残しておけば安心

と思っていませんか?
実は遺言書の種類によって“相続時に必要な手続き”が大きく違うことをご存じでしょうか。
特に「検認(けんにん)」という手続きは、知っておかないと
「名義変更や財産手続きが進まない」「相続人同士のトラブルになる」
というケースも珍しくありません。
この記事では、
- 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の違い
- 検認が必要なケース・不要なケース
- 検認手続きの流れ・注意点
について、行政書士がわかりやすく解説します。
そもそも「検認」とは?
「検認(けんにん)」とは、遺言書が改ざんや偽造されていないかを家庭裁判所が確認する手続きです。
ここで勘違いしやすいのが、
検認=遺言書の内容を法的に有効かどうか審査する手続きではない
という点です。
検認はあくまで「この遺言書が確かに存在していた」「内容が改ざんされていない」と記録を残すためのもの。
したがって、検認を受けたからといって遺言書の内容がすべて有効になるわけではありません。
検認が必要な理由
- 遺言書が存在したことを正式に記録するため
- 遺言書の偽造・隠匿・破棄といったトラブルを防ぐため
- 相続人全員に「遺言書が存在すること」を知らせるため
検認が必要な遺言書・不要な遺言書
遺言書の種類 | 検認が必要? | 特徴 |
---|---|---|
自筆証書 遺言 | 必要 | 本人が全文を手書きする遺言。 家庭裁判所で検認が必要。 |
公正証書 遺言 | 不要 | 公証役場で作成・保管されるため、検認手続きは不要。 |
秘密証書 遺言 | 必要 | 内容を秘密にしたまま公証人に存在だけ証明してもらう方式。 検認が必要。 |
■ 自筆証書遺言
家庭裁判所での検認が必須です。
検認を受けない限り、遺言書は効力を発揮しません(名義変更もできません)。
■ 公正証書遺言
公証役場で公証人が作成・保管するため、検認は不要です。
相続開始後、すぐに不動産名義変更や銀行手続きに進むことができます。
■ 秘密証書遺言
作成時に公証人が関与しますが、内容には関知しません。
そのため相続時には家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
自筆証書遺言の検認手続きの流れ
検認が必要な場合、相続人は以下の流れで手続きを進めます。
相続開始後、遺言書を家庭裁判所へ提出し、検認の申立てを行います。
※遺言書を勝手に開封してはいけません。
- 検認申立書(家庭裁判所書式)
- 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言書原本
- 被相続人の住民票除票
- 相続人全員の住所がわかる書類(住民票等)
申し立て後、1~2ヶ月ほどで検認期日が通知されます。
当日は家庭裁判所で遺言書の現物確認を行い、検認済証明書が発行されます。
検認済証明書をもとに、不動産登記変更や銀行口座手続きを進められます。
公正証書遺言は検認が不要。そのメリット

公正証書遺言は、
- 公証人が作成し、
- 公証役場が原本を保管するため、
改ざんリスクがありません。
そのため、相続開始後は検認不要で
- 不動産の名義変更
- 預貯金口座の相続手続き
などを速やかに進めることができます。
手続きのスムーズさ・安全性を考えると「公正証書遺言」は非常におすすめです。
秘密証書遺言は実務では非推奨
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま遺言の「存在だけ」を証明する方式です。
しかし、形式ミスや紛失リスクが大きく、相続時には結局「検認」が必要になります。
実務上はトラブル防止の観点から、あまり用いられていません。
行政書士がサポートできること
- 自筆証書遺言の形式チェック・作成サポート
- 検認申立書類の作成代行
- 公正証書遺言作成時の文案作成・公証役場との調整
- 相続発生後の各種手続き(遺産分割協議書作成・戸籍収集など)
- 司法書士・税理士との連携による“ワンストップ”対応

遺言書を作成したいが、どこから手をつければいいか分からない

相続手続きをスムーズに進めたい

そんな時は、行政書士にご相談ください。
まとめ
- 自筆証書遺言・秘密証書遺言は検認が必要
- 公正証書遺言なら検認不要で、すぐに相続手続きに使える
- トラブル防止・手続きの簡便さなら「公正証書遺言」がおすすめ
- 検認手続きや遺言書作成は行政書士に相談するのが安心です
ご相談はこちらから!