
こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。
今回は、ペットビジネスの中でも人気の高いペットホテルとトリミングサロンの開業について、必要な許可や設備基準、手続きの流れを初心者の方にもわかりやすく解説します。

ペットホテルを自宅で開業できるの?

トリミングサロンに必要な手続きって?

といった疑問も、この記事を読めばすっきり解消できますよ。
ペットホテル・トリミングサロン開業に必要な許可は?
まず、ペットホテルやトリミングサロンを開業するには、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)に基づく動物取扱業登録が必要です。
このうち、以下の登録種別が該当します。
動物を預かる業務(ペットホテル、トリミングサロン、ペットシッター)
トリミングのみで、飼い主がずっと立ち会っている場合は登録不要ですが、少しでもお預かりするなら保管の登録が必須です。
動物取扱業登録の基本的な流れ
動物取扱業登録は、事業を行う所在地を管轄する**都道府県(政令市・中核市含む)**に申請します。
流れは以下の通りです。
- 事前相談(任意)
- 必要書類の準備
- 施設確認(現地調査)
- 登録申請書提出
- 登録証の交付
動物取扱責任者の資格要件
動物取扱業を営むには、必ず事業所ごとに「動物取扱責任者」を1名以上配置しなければいけません。
以下のような資格者のいずれかに該当する必要があります。
所定の資格一覧
- 愛玩動物飼養管理士(日本愛玩動物協会)
- 日本小動物獣医師会認定のペットショップ管理士
- ジャパンケネルクラブの愛犬飼育管理士
- JKC公認トリマー
- 獣医師
- 動物看護師
- ペットケアアドバイザー
- 家畜商免許(販売業の場合)
- 大学・専門学校等で動物関連学科を修了
さらに、半年以上の実務経験、動物愛護管理センター等が実施する動物取扱責任者講習が求められる点もポイントです。
所定の資格については、都道府県により基準が異なる場合がありますが、参考にこちらのホームページをご覧ください。
設備基準と管理ルール
動物愛護法施行規則に基づき、保管業の施設には以下の基準が定められています。
設備基準
- 動物ごとの収容スペースの広さと数
- 十分な換気・採光・温度管理
- 感染症予防のための消毒設備
- 逃走防止策(二重扉・施錠管理)
- 排泄物処理設備
- 動物の観察・隔離スペースの確保
- 災害時の避難・搬送計画の作成
管理ルール
- 1日1回以上の健康チェックと記録
- 給餌・給水の適切な実施
- 動物ごとの識別管理
- 飼養・保管状況の記録保存(1年間)
- 苦情受付と対応記録
自分で申請する場合の注意点
ペットホテル・トリミングサロンの開業を目指して、動物取扱業登録を自分で行う場合、以下の点に注意が必要です。
必要書類を漏れなく準備する
申請には「動物取扱業登録申請書」「動物取扱責任者の資格証明書類」「施設の平面図・設備の仕様書」「周辺状況図」など複数の書類が必要です。
1枚でも不足すると受付されず、再提出を求められることがあります。
動物取扱責任者の資格要件を事前確認する
責任者として認められるには、上記で記載した資格要件が必要です。
資格の証明が不十分だと認められず、申請が止まります。
設備基準の現地確認を行う
各都道府県の基準を事前に確認し、以下を満たすようにしておきましょう。
- 犬舎・猫舎の広さ(例:犬なら1頭につき1.65㎡以上)
- 消毒・給水・排水設備の設置
- 動物が逃げ出さない扉・柵
- 十分な換気・照明
開業後の立入検査で基準違反が判明すると、是正指導が入ります。
地域ごとの独自運用に注意
都道府県によって細かな基準や提出書類が異なることがあります。必ず事前に管轄の動物愛護担当窓口に確認を取りましょう。
行政書士に依頼する場合の流れとメリット
動物取扱業登録の手続きを行政書士に依頼すると、次のような流れになります。
まず、希望する業態(例:ペットホテル・トリミング)や施設の状況をヒアリング。
必要な手続き・取得資格の確認、見積もり提示を行います。
行政書士が以下を代行します。
- 必要な申請書の作成
- 資格証明・設備資料のチェック
- 平面図や仕様書の作成支援
ご自身の手間が大きく軽減されます
役所と事前に協議し、基準を満たしているか確認。
書類に不備がないかも事前チェックし、スムーズな受付を実現。
原則として行政書士が窓口へ同行・提出し、担当者とのやり取りも行います。
行政書士が登録完了の連絡を受け取り、登録証の受領も代行可能。
- 窓口との煩雑な調整や相談をすべて代行
- 書類不備の心配がなく、スムーズに許可取得
- 設備基準・法改正への対応もアドバイス
- 開業後の法的サポート・契約書作成も相談可能
よくある違反事例5選|実際によくあるミス
開業後に行政の立入検査で指摘されやすい事例を紹介します。
- 動物取扱責任者の常駐義務違反
→ 営業時間中に責任者が不在になると違反。 - 犬舎・猫舎の広さ不足
→ 複数頭の飼育で面積基準を超過。 - 狂犬病予防注射の未実施
→ 犬の預かりで注射証明書の確認漏れ。 - 動物の逃走防止設備の不備
→ 扉の施錠忘れや隙間からの脱走。 - 飼育記録・健康管理記録の未作成
→ 法律で義務化されている記録を怠る。
登録後の義務と注意点
動物取扱業の登録は一度取ったら終わりではありません。以下の義務があります。
- 動物取扱責任者の設置と常駐
営業中は必ず責任者を常駐させること。 - 年1回以上の動物取扱責任者研修の受講
行政が実施する法令・管理指導の講習に参加必須。 - 飼育記録の作成と保管
動物の健康管理・死亡・譲渡などの記録を保管。 - 登録内容に変更があれば届出
責任者の変更、施設の所在地変更、設備変更なども届出義務あり。 - 有効期間の満了前更新
動物取扱業登録は5年ごとに更新が必要。期限切れは営業停止となるため注意。
このように、ペットホテル・トリミングサロン開業時の動物取扱業登録は、事前準備・基準確認・開業後の管理義務も含め、丁寧な対応が必要な手続きです。
まとめ
ペットホテル・トリミングサロンの開業には、動物取扱業登録の取得が必須です。
資格要件・設備基準・申請書類・管理体制など、細かな要件があり、自分で行うのは意外と大変。
行政書士なら、手続きのプロとしてサポートできますので、開業の夢をスムーズに叶えたい方はお気軽にご相談くださいね。
次回予告
次回は第4回
「ペットカフェ開業の許可申請|飲食店営業許可+動物取扱業登録のダブル手続き完全ガイド」をお届けします!
飲食と動物取扱業の両方の許可が必要なペットカフェ。開業の流れとポイントを詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。
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