
相続手続きのたびに、何枚も戸籍を提出しないといけない…

銀行や不動産、保険など、同じ書類を何度も集め直して大変
もっと簡単に相続手続きを進める方法はないの?

そんなお悩みを持つ方にとって、非常に便利な制度があります。
それが 「法定相続情報一覧図の写しの交付制度」 です。
名前は少し堅苦しいですが、仕組みそのものはとてもシンプル。
相続手続きを“ラクに、早く、安全に”するための無料制度 です。
この記事では、初めて相続手続きをする方でも安心して理解できるように、
やさしく丁寧に解説していきます。
法定相続情報一覧図とは?簡単に言うと「相続関係を1枚にまとめた図」
法定相続情報一覧図とは、
亡くなった方(被相続人)の家族関係を、法務局が確認し、1枚の図にまとめてくれるもの
です。
通常の相続手続きでは、
- 出生から死亡までの戸籍
- 除籍
- 改製原戸籍
など、多くの戸籍書類を提出する必要があります。
銀行や不動産手続きなど、提出先が複数になると、
「同じ戸籍を何十枚もコピーして渡す」という手間が発生。
そこで、「もっと簡単にしましょう」ということで始まったのが、この制度です。
法定相続情報一覧図は無料で作れます
この制度の特徴は、とても便利なのに 完全無料 であること。
- 申請にお金はかかりません
- 法務局が確認したうえで、一覧図の写しを交付
- 必要な枚数を複数発行してもらえる
つまり、
「お金がかからないうえに、相続手続きが一気にラクになる」
という、とてもありがたい制度なのです。
どんな場面で使えるの?
法定相続情報一覧図は、次のような場面で利用できます。
- 銀行での相続手続き
- 証券会社での名義変更
- 不動産の相続登記
- 生命保険の請求
- 自治体や税務署の手続き
提出先が多いほど、この制度のメリットは大きくなります。
法定相続情報一覧図のメリット

戸籍の束を提出しなくてよくなる
通常は何十ページにもなる戸籍を提出しますが、法定相続情報一覧図(1枚程度)を出すだけで大丈夫になります。
同じ書類を何度も集め直す必要がなくなる
銀行や保険会社ごとに「戸籍一式の提出をお願いします」と言われる…
こうした手間が大幅に減ります。
何枚でも発行できるから、複数の手続きが同時に進む
例えば、銀行・証券・保険・不動産…
それぞれ同時進行できるため、時間の節約になります。
無料で使える
法務局に法定相続情報一覧図の発行を申請しますが、無料で発行してもらえます。
費用の心配がいらない点は、多くの方にとって大きな安心材料です。
法定相続情報一覧図のデメリット
制度そのものはとても便利ですが、デメリットもあります。
各金融機関で法定相続情報一覧図の受け入れに差がある
大手銀行や法務局関係はほぼ対応済みですが、地方の信用金庫や昔からある金融機関は対応が遅い場合があります。
一覧図に記載される内容は法律上の相続関係のみ
「遺言がある」「相続放棄をした」など、
相続の事情までは一覧図に反映されません。
※これは制度上の仕様なので、不備ではありません。
一覧図を作るために必要な書類
一覧図を作るには、次のような戸籍類を揃える必要があります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・原戸籍
- 相続人全員の現在戸籍
- 申請者の身分証明書
- 一覧図の作成(様式は法務局の形式)
「出生から死亡までの戸籍」という部分は、多くの方がつまずく場所です。
本当に大量の戸籍を集める必要があるため、心が折れそうになる方も少なくありません。
法定相続情報一覧図を作る手続きの流れ
法定相続情報一覧図を作る流れは、ざっくり言うと次の4ステップです。
- 必要な戸籍を全部集める
- 相続関係を1枚の図にまとめる
- 法務局へ申請する
- 法務局から“一覧図の写し”を受け取る
これだけですが、
実は「①の戸籍集め」と「②の図の作成」がとても難しいポイントです。
ここからは、各ステップをさらに詳しく 解説します。
まず最初に行うのは「戸籍集め」です。
多くの方がここでつまずきますが、実は仕組みが分かれば大丈夫です。
■ 何を集めるの?
法定相続情報一覧図を作るには、
被相続人(亡くなった方)の“出生から死亡まで”の全ての戸籍
が必要です。
つまり、
- 生まれたときの戸籍
- 結婚して戸籍が変わったときの戸籍
- 転籍したときの戸籍
- 離婚・再婚の際の戸籍
- 最後の本籍地の戸籍(死亡の記載があるもの)
を全部つなげていく必要があります。
■ なんでこんなに必要なの?
法務局が
「法律上の相続人は誰か?」
を確認するためです。
途中の戸籍が1つでも抜けていると、
「本当にこの人たちが相続人なのか?」が確認できないため、受理されません。
必要な戸籍が揃ったら、
そこに書かれている情報をもとに、家族関係を図にします。
これが「法定相続情報一覧図」です。
■ 書く内容(初心者にもわかるように)
- 被相続人の氏名・生年月日・死亡日
- 配偶者の情報
- 子ども全員の情報(養子も含む)
- すでに亡くなっている子がいれば、その事実
- 代襲相続がある場合は、その子の情報
などを整理して書きます。
■ 図のイメージは家系図に近い
家系図のように、

といった形でまとめます。
■ 注意点
- 法務局指定の様式に沿って作る
- 個人情報(名前・生年月日など)を正確に記載
- 戸籍の内容と矛盾があってはいけない
初心者の方が最も不安になりやすいポイントなので、行政書士が最も力を発揮できる部分でもあります。
一覧図が完成したら、法務局へ提出します。
■ 申請方法は2つ
- 窓口へ行く
- 郵送する
どちらでも構いません。
■ 申請時に必要なもの
- 戸籍一式
- 相続関係をまとめた一覧図
- 申出書(法務局の書式)
- 身分証明書(申請者の本人確認用)
法務局の担当者が書類一式を確認し、
- 相続関係が正しいか
- 戸籍に不足はないか
- 一覧図に誤りがないか
などをチェックします。
問題がなければ、法務局が
「法定相続情報一覧図の写し」
を発行してくれます。
■ この写しをどこで使える?
- 銀行の相続手続き
- 不動産の相続登記
- 株や投資信託の名義変更
- 生命保険金の請求
- 役所での手続き
など、幅広く使えます。
■ 何枚も発行OK
例えば、
- 銀行に1枚
- 不動産の手続きで1枚
- 証券会社に1枚
- 保険会社に1枚
と、複数手続きが同時にできます。
■ 戸籍の束を出す必要がなくなる
通常は相続のたびに、
「出生から死亡までの戸籍一式を提出してください」
と言われ、毎回コピーしたり取り寄せたりして大変です。
法定相続情報一覧図を使えば、
厚さ2〜3cmの戸籍の束 = わずか1枚の図で代替できる
ので、驚くほど手続きがラクになります。
初めての方が特につまずくポイント

戸籍集めがとにかく大変
80〜90年前の戸籍は紙で保存されており、読みづらかったりすることもあります。
また、婚姻歴などにより複数の役場に対して、戸籍を収集しなければならない場合があります。
一覧図の書き方に細かいルールがある
生年月日、死亡日、続柄の書き方など、ミスがあると差し戻されます。
相続関係が複雑だと判断が難しい
- 再婚
- 認知
- 養子縁組
- 前妻の子
- 代襲相続
などがあると、誰が相続人になるかの判断が非常に難しくなります。
行政書士などの専門家に依頼するとどう変わるの?
行政書士などの専門家に依頼すると、次のようなサポートができます。
- 戸籍の収集を代行
出生から死亡までの戸籍を揃えるのは非常に大変です。
自治体ごとに取り寄せが必要な場合もあり、時間もかかります。 - 法定相続人を正確に判定
複雑な家族関係でも法律に沿って判断。
特に再婚家庭や、認知の有無、養子縁組などがある場合は注意が必要です。 - 一覧図を正しい形式で作成
複雑な家族関係でも、法律に沿った正しい図を作成できます。 - 申請の代行
時間がない方でも安心。 - その後の銀行手続き、不動産相続まで相談できる
銀行・保険・不動産など、手続きがワンストップで進められるメリットがあります。
法定相続情報一覧図は、どんな人が使うと便利なの?
- 手続き先が多い人
- 戸籍収集が大変な人
- 仕事が忙しく相続手続きに時間を割けない人
- 書類の扱いに不慣れな人
- 相続人が多い家庭
特に 不動産+銀行+証券の3つ以上 がある場合は、この制度を使うと負担が大幅に減ります。
まとめ|相続手続きを早く・ラクに進めたい方は必ず検討すべき制度です
- 法定相続情報一覧図は「相続関係を1枚にまとめた図」
- 戸籍の束を提出しなくてもよくなる
- 手続きがスムーズに進む
- 無料で使える制度
- ただし、戸籍収集や図の作成は大変なので専門家のサポートが安心
「相続手続きって、思っていたよりずっと大変なんだ…」
「もっと簡単に進む方法はないの?」
そんな方にこそ、
法定相続情報一覧図は大きな味方になります。
もし、
- 戸籍がどれかわからない
- 家系が複雑で不安
- 生まれた頃の本籍が他県で、取り寄せに不安がある
- 正しい相続関係が自分で判断できない
- 法務局に提出する書類が作れる気がしない
という気持ちが少しでもあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
あなたの相続手続きをスムーズに、安心して進められるよう、丁寧にサポートいたします。
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