
遺言を残したいけれど、まずは手軽に自分で書いてみたい。
公正証書遺言ほどお金をかけずに作りたい。

自筆証書遺言ってよく聞くけど、どう違うの?

そんな方にぴったりなのが、**自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)**です。
ただし、「簡単に作れる」というイメージがある一方で、
書き方を少しでも間違えると無効になってしまうという大きな落とし穴もあります。
この記事では、自筆証書遺言を検討しているあなたが、
- 書いていいこと・書いてはいけないこと
- 必ず守るべきルール
- 実務で多い間違い
- 法務局の保管制度のメリット
- 行政書士に相談するとどう安心なのか
を、はじめての方でも安心して理解できるように、やさしく解説します。
自筆証書遺言とは?簡単に言うと「自分の手で書く遺言」
自筆証書遺言とは、その名のとおり、
遺言者が“自分の手で”全文を書いて作る遺言書
(財産目録はパソコン作成OK)
のことです。
- お金がかからない、もしくは少なめで済む
- いつでも書ける
- 誰にも知られずに作れる
という大きなメリットがあります。
しかしその反面、
ルールどおり書かないと無効になる、というシビアさもある
という点をまずお伝えしておきたいです。
自筆証書遺言のメリット(手軽で費用負担も少ない)
- 自分だけで作れる
家にいる時間でも、思い立ったときにすぐ作成できます。 - 公証役場の費用がゼロ円
公正証書遺言と違い、手数料は発生しません。 - 家族に知られずに作成できる
「まだ家族に話す段階じゃない…」という方でも準備ができます。 - 何度でも書き直せる
書き直しの自由度がとても高く、小さな変更もあなた自身で可能です。
デメリット:実務ではここで問題が起きやすいです
- 書き方の間違いで無効になるリスクが高い
たとえば、
▶︎ 日付を書き忘れる
▶︎ 押印し忘れる
▶︎ パソコンで全文を書いてしまう
▶︎ 氏名が一致しない
など、本当にちょっとしたことで無効になってしまいます。
これは、実務で非常によく見られるトラブルです。 - 紛失されるリスクがある
自筆証書遺言は自宅で保管されることが多く、
▶︎ 見つけてもらえない
▶︎ 火災で消失
▶︎ 誰かが勝手に破棄
という問題が起きる場合があります。 - 内容が曖昧だと、かえって争いの火種に
たとえば、
▶︎ 「財産は仲良く分けてください」
▶︎ 「家は××にあげてください」
このような書き方は、後の相続手続きで解釈が分かれ、トラブルにつながることが少なくありません。
自筆証書遺言を書くときに絶対守るべきルール

遺言が有効になるためには、民法のルールに従う必要があります。
ここでは、初心者にもわかりやすく整理します。
- ① 全文を「自筆」で書くこと
※財産目録のみパソコン作成OK、ただし署名押印が必須 - ② 日付を書くこと
「令和〇年〇月吉日」は無効になる可能性があります。 - ③ 氏名を書くこと
戸籍上の氏名で記載するのが基本です。 - ④ 押印すること
実印でなくても構いませんが、シャチハタは避けるべきです。
よくある間違い(実際にトラブルになりやすい例)
- 日付があいまい
「令和○年○月吉日」
「平成の終わり頃」
など。 - 修正の仕方が法律のルールに反している
遺言書の修正は、普通の書類のように二重線で消すだけではダメです。 - 財産の書き方が曖昧
「○○銀行の預金すべて」
「マイホームを長男に」
→ 支店名、口座番号、不動産の登記情報が必要です。 - 付言と本文が矛盾している
本文で「全財産を長女に相続させる」としているのに、
付言で「できればみんなで分けてほしい」と書いてしまうケースなど。
法務局の「自筆証書遺言保管制度」がとても便利です
2020年から始まった制度で、
自筆の遺言書を法務局で預かってくれる制度
です。
メリットとしては
- 紛失リスクがゼロ
- 家族が見つけられない心配もゼロ
- 裁判所の検認(けんにん)が不要
(※自筆遺言は通常検認が必要)
費用は数千円程度と安く、自筆証書遺言の弱点をかなり補ってくれます。
ただし以下の点には注意が必要です。
- 公正証書遺言のように、遺言書検索はできない。
- 公正証書遺言のように、公証役場への遺言内容に関する問い合わせは不可
- 指定の様式である必要があり、保管制度利用までは遺言書は未開封でなければならない
- 公正証書遺言のように、手元に遺言書が残らない
自筆証書遺言はどんな人に向いている?
- とりあえず遺言の形を作っておきたい
- 費用をかけたくない
- シンプルな財産と相続関係
- 自分一人でも書ける自信がある

→ こうした方には適しています。
しかし、次のようなケースでは公正証書遺言をおすすめします。
- 不動産が複数ある
- 子どもが複数いる
- 再婚家庭・内縁の配偶者がいる
- 相続人同士の関係に不安がある
行政書士などの専門家に相談するとどう違うの?

自分で書けるとはいえ、やっぱり不安…
そう思われる方は多く、行政書士がサポートできるのは次のような内容です。
- 相続人調査(誰が相続人になるか)
- 遺留分(最低限の取り分)の確認
- 文案の作成
- 書き方チェック(無効リスクの排除)
- 財産の書き方(正式名称・登記情報)
- 付言事項の表現提案
- 法務局保管制度の手続き案内
「自分で書いたつもりでも、実は無効だった」というケースは本当に多いので、
文章の整合性と法律の観点から、丁寧にサポートするのが行政書士などの専門家の役割です。
まとめ|自筆証書遺言は手軽。でも“慎重に”作るべき遺言書です
- 自筆証書遺言は手軽で費用ゼロ
- 自分だけで作れるのが大きな魅力
- ただし、書き方のミスで無効になるリスクが高い
- 財産目録はパソコン作成OK
- 法務局の保管制度で安全性アップ
- 少しでも不安がある場合は専門家へ相談を
自筆証書遺言は、“まずは形にしたい”“早めに準備したい”という方にとても良い方法です。
ただし、
**一番大事なのは「有効な遺言として残ること」**です。

これで間違ってないかな?

この書き方で大丈夫かな…?
そんな不安が少しでもある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの想いや家族の大切な未来を守るために、専門家として丁寧にサポートさせていただきます。
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