はじめに|これからブリーダーとして開業を考えているあなたへ

こんにちは。キリヒラク行政書士オフィスの行政書士 小寺です。
最近では、犬猫をはじめとするペットブームの影響で「ブリーダーとして独立したい」「副業で始めたい」というご相談がとても増えています。
でも実は、ブリーダー業を始めるには動物取扱業登録が必須で、法令で厳格な要件も定められています。
そこで今回は、初心者の方でも安心して開業準備が進められるよう、必要な登録・設備要件・注意点をわかりやすく丁寧に解説しますね。
動物取扱業「販売」の登録が必要
ブリーダー業は、自家繁殖した動物を販売する業務のため、「販売」の動物取扱業登録が必要です。
【根拠法令】動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)
登録申請に必要な書類
- 動物取扱業登録申請書
- 所定の資格証明(※後述)
- 飼育施設の平面図・写真
- 飼養・保管マニュアル
- 誓約書
- その他、自治体ごとの様式
所定の資格要件を完全網羅
ブリーダーとして登録するには、以下のいずれかの資格要件が必要です。
- ① 認定された学校の卒業者
→ ペット専門学校など動物取扱責任者資格の対象校を修了 - ② 半年以上の実務経験
→ 繁殖・販売業務の補助業務等で180日以上の実績 - ③ 認定資格の保有者
→ 動物取扱責任者研修を修了し、自治体指定の資格保持者
※自治体ごとに運用基準が異なるため、事前確認が大切です。
飼育設備基準と管理ルール
ブリーダーとして動物を飼育・繁殖する施設には、法律で定められた**「飼育設備の基準」と「管理ルール」**があります。
これを満たさないと登録できないだけでなく、開業後も改善命令や営業停止になることも。
ここでは、初心者の方にもわかりやすく、一つずつ解説します。
飼育設備の具体例
項目 | 基準・内容 |
---|---|
飼育スペース | 動物が自由に動き回れる広さが必要。ケージやサークル内で動物が立ち上がり、方向転換できる大きさ。例:小型犬なら90×60cm以上など。 |
採光・換気設備 | 自然光や換気扇を設置し、臭気・湿気がこもらないようにする。 |
温度・湿度管理 | 冷暖房や加湿器・除湿器で動物の適温・適湿を保つ。夏の熱中症・冬の低体温に注意。 |
清掃・排水設備 | 汚物・餌の残りを毎日掃除できるよう、排水口や清掃道具を備える。 |
脱走防止設備 | ドア・ケージの二重ロックや、隙間をなくす工夫。万が一逃げた場合の対策も。 |
管理ルールの具体例
- 繁殖回数の制限
犬猫は年2回まで。体調管理も必須。 - 健康管理記録の作成
毎日の食事・排泄・体調・投薬の記録を残す。 - 重要事項説明と契約書の交付
動物の種類・性別・誕生日・ワクチン歴・飼育方法などを書いた書面を必ず交付。 - 販売後の相談対応
飼い主さんからの問い合わせにも丁寧に対応。
自分で申請する場合の注意点
- 資格要件の確認漏れが多い
→ 実務経験証明の書式不備など - 飼育施設の基準を満たせず再提出
→ ケージの広さ・換気・清掃設備不足 - 販売マニュアルや重要事項説明書が不備
→ 特に販売方法・アフターケア説明の漏れ - 自治体ごとの独自基準を見落とす
→ 事前の確認が必須
不明点は、必ず自治体担当窓口へ確認しましょう。
よくある違反事例5選
開業後によくあるトラブル・違反事例を5つ、具体例とセットで紹介します。
- 無登録で繁殖・販売をした
→ 知り合いに販売するだけでも登録なしはNG。動物愛護法違反で6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金。 - 資格要件がない人が責任者になっていた
→ 実務経験が不足しているのに動物取扱責任者を届け出、発覚して営業停止。 - 施設基準を満たさない
→ 狭いケージ、換気・排水設備がなく悪臭発生。改善命令→従わず営業停止処分。 - 販売時に重要事項の説明をしない
→ 生まれた日・ワクチン歴・健康状態の説明書面を渡さず、クレームに。 - 犬猫の繁殖回数制限超過
→ 年3回以上の繁殖で摘発。動物虐待と見なされ行政処分。
行政書士に依頼する場合の詳しい流れとメリット


手続きって何からすればいいの?

施設が基準を満たしているのか不安…

そんな方は行政書士に依頼するのがおすすめです。
行政書士に依頼する流れ
開業の希望や施設の状況、資格要件などを丁寧に確認。
飼育スペース・設備・施設の寸法を確認し、登録に必要な写真を撮影。
申請書、誓約書、管理マニュアル、契約書ひな形などを作成。
窓口への提出から行政とのやり取りもすべて代行。
登録証交付後、開業に向けた届出・注意点もフォロー。
行政書士に依頼するメリット
- 要件に合うか事前にチェックできる
- 施設基準の改善アドバイスも受けられる
- 面倒な書類・役所交渉も任せられる
- 開業後も更新・変更手続きの相談ができる
- トラブルになりやすい契約書類も作成してもらえる
登録後の義務と注意点
開業したあとも、以下の義務を必ず守らなければいけません。
- 動物取扱責任者研修の受講
毎年1回、自治体主催の講習を受ける(不参加だと登録取消も) - 📝 販売時の重要事項説明書の交付
生年月日・ワクチン履歴・飼育上の注意点を書いた書類を必ず渡す。 - 📊 動物の健康・繁殖・販売記録の保存
5年間の記録保管義務。抜き打ち監査でチェックされることも。 - 🔄 変更届・更新申請の提出
施設の住所・責任者変更、更新時期(5年ごと)も忘れずに提出。 - 🚨 事故・苦情の迅速対応
苦情・トラブルには即時対応し、自治体にも報告義務。
まとめ
ブリーダー業は動物の命を扱う責任ある仕事。開業時には法律と設備基準をしっかり守ることが大切です。
もし不安な点があれば、ぜひ行政書士にご相談ください。
開業準備から登録手続き・運営サポートまで、あなたの不安を解消しながらお手伝いします。
次回予告
もしよければ、次回は
「第6回:移動動物園・ふれあいイベントの開催許可と動物取扱業『展示』登録の手続き実務」も楽しみにお待ちください!
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